BtoBそれともBtoC? 購買プロセスの違いから考えるマーケティングオートメーションの活用方法

日頃あまり意識することはないかもしれませんが、個人として商品を購入する場合と、企業の担当者として資材や設備などを購入する場合とでは、その購買のプロセスや商品を選択する要因には大きな違いがあります。

マーケティングオートメーションは、BtoCと呼ばれる一般消費者向けの活用でも、企業向けの取引であるBtoBでの活用も問題なく可能ですが、個人と法人との購買プロセスなどの違いを考慮した上で活用しなければ、思ったような成果を得られない場合があります。

今回はそのようなBtoCとBtoBの購買プロセスや購買決定要因の違いを確認した上で、マーケティングオートメーションを活用する上での注意点をご説明します。

BtoBそれともBtoC? 購買プロセスの違いから考えるマーケティングオートメーションの活用方法

日頃あまり意識することはないかもしれませんが、個人として商品を購入する場合と、企業の担当者として資材や設備などを購入する場合とでは、その購買のプロセスや商品を選択する要因には大きな違いがあります。

マーケティングオートメーションは、BtoCと呼ばれる一般消費者向けの活用でも、企業向けの取引であるBtoBでの活用も問題なく可能ですが、個人と法人との購買プロセスなどの違いを考慮した上で活用しなければ、思ったような成果を得られない場合があります。

今回はそのようなBtoCとBtoBの購買プロセスや購買決定要因の違いを確認した上で、マーケティングオートメーションを活用する上での注意点をご説明します。

私たちはどのような理由でモノを買うのか

皆さんが購入商品を決める際はどのような基準で決められていますでしょうか。商品の性能や効能、価格であったり、または好みで決めてしまう場合もあります。人が商品を購入する際は、自分が思っている以上に「感情」に左右されていると言われています。以前、米国で次のような調査が行われました。

レジで並んでいるお客さまの買い物かごにある飲料水をこっそりと別ブランドのものに変え、清算後に”そのブランド”の飲料水を選んだ理由を聞く、というものです。結果は70~80%の人が、「体に良いから」「おいしいから」「子供が好きだから」などの理由を説明したそうです。

この調査の例のように、私たちは意外と自分が気付かない間に感情によって購買行動を決めているのかもしれません。低価格の日用品などの場合は、上記のようにその場の感情が大きな決定要因になる場合が多いと考えられますが、ある程度高額の耐久消費財などになると、やはりいろいろ比べたり悩んだりしてから購入するのが一般的です。

そのような際には、購買に至るまである一定の購買プロセスが存在すると言われています。最も有名なのが、AIDMAモデルと呼ばれるもので、最初の「注目(Attention)」から始まり、それに「興味(Interest)」を持つことで「欲求(Desire)」が生まれ、それが「記憶(Memory)」された後にやがて購買「行動(Action)」に移る、というものです。

また、インターネットの普及による購買行動の変化に対応した新たなAISASモデルというものも提唱されました。購買プロセスを「注意(Attention)」「関心(Interest)」「検索(Search)」「購買(Action)」「情報共有(Share)」のような流れでとらえるものです。

マーケティングオートメーションでナーチャリングなどを行う場合、このような消費者の購買プロセスにマッチした情報提供やアプローチを行うことが重要なポイントとなります。

例えば、商品を検索して比較検討をしているリードに対しては、比較の基準となる情報を提供したり、他社商品と比較してどこがどのように自社商品方が優れているのかを訴求したりすることで、自社商品への購買意欲を上げることができます。反対に、比較検討しているリードに対してその商品自体のベネフィットを訴求してもあまり効果はないでしょう。

また、上でも申しあげたとおり購買決定には「感情」や「気持ち」の要素も多く含まれるため、各プロセスに応じた感情に訴えるような訴求も重要です。例えば、使った時の心地よさや優越感、満足感などの要素を入れ込むことが必要になります。

BtoB取引の場合は購買プロセスも選定基準も違う

一方、企業が資材や設備を調達する場合、いわゆるBtoB取引の場合はどうでしょうか。

この場合は、感情や気持ちなどはあまり働かず、冷静で論理的な判断基準が適用されるのが一般的です。もちろん企業活動の一環ですので、今までの商習慣や取引関係、資本関係などの製品とは直接関連しない要因が影響することも少なからずあります。

具体的にはどのようなプロセスで購入に至るのかを「プリンターの交換」を例に取って見てみましょう。

まずは、製品を購入しなければならない理由となる「問題の認識」(プリンターが古くなってきて故障が多いし印刷品質も悪くなってきた、など)から始まり、「解決の意欲」(このままでは業務効率が悪いので何とかしよう!)を持ち、「課題を整理」(本当にプリンターが古いのだけが理由だろうか、他に原因は?)します。

次に「ソリューションを検討」(今の課題解決と自社の業務にマッチしたプリンターはどのようなものだろうか?)し、さまざまな製品を「比較検討」した後に「条件交渉」することになります。そして条件が合致した相手先から「購入」することになります。

プロセスだけ追うと、「問題の認識」「解決の意欲」「課題の整理」「ソリューションの検討」「比較検討」「条件交渉」「購入」のようになります。

このようにBtoBでの購買プロセスは個人消費での購買に比べて、内容的に複雑で通常は購買決定までの期間も長くなります。また、判断も論理的に課題を整理したり、メリット、デメリットなどの比較検討をしたりする必要があります。

さらに、購買決定に関わる人物も購買を直接担当する人間だけではなく、購買部やシステム部門、製造部門などの関連する部門、また上長や購入額などによっては経営層など複数の人間が関連するのが一般的です。

しかし、購買プロセスの違いはあるものの、BtoBにおいても、リードの状態に応じたアプローチが必要であることにはBtoCと同じです。例えば「ソリューション検討」のプロセスにいるリードに対して、課題に対するソリューションを提案するのは有効ですが、いきなり価格を訴求してもあまり効果はありません。

BtoCとBtoBの共通する点と違う点を理解する

このように個人での商品購入時と、企業での製品購入時の購買プロセスや購買決定要因は大きく違うものです。

マーケティングオートメーションを活用してマーケティング活動を行う場合は、その違いと共通点を把握した上でデータ収集やスコアリング、ナーチャリングなど各種の施策を行っていく必要があります。

特に留意しなければならない違いは次のような点です。

主な購買決定要因の違い

BtoCでは、感情や気持ちが購買決定の要因となることがありますが、BtoBでは論理的な判断が主な購買決定の要因です。従ってBtoBの場合には、購買者の論理的判断を助けるようなコンテンツ作りが求められます。BtoCの場合でも冷静な性能比較やメリット訴求はリードのプロセスによっては有効ですが、状況やタイミングによっては感情的な訴求、例えば快適さや生活における充実や満足などを訴求すると、より効果的な場合も多くあります。

購買決定までの期間の違い

BtoCは、感情的な判断で瞬時に購買を判断するケースもあります。従って、タイムセールや単発的なキャンペーンのオファーなどの瞬発力的な訴求が有効な場合があります。BtoBの場合でも単発的なオファーの効果がないとは言えませんが、リードの状態を正確に把握していなければ逆効果を生むリスクがあります。

例えばソリューションを検討している段階で値引き情報を提供すれば、かえって違和感を与えてしまいロイヤリティを下げてしまう恐れがあります。BtoB取引の場合は、リードの状況や反応を見ながら時間をかけてじっくりと育てるという発想が大切です。また単純に期間が長いので継続的に関係を持続していくこと、すなわち「忘れられないようにすること」も重要な要素です。

購買に関連する人数の違い

BtoCの場合は、通常リード本人の状態のみを把握しコミュニケーションすることになりますが、BtoBの場合は、そのプロセスに関与していると思われる関係者の存在も配慮する必要があります。

例えばシステム的な要素を含む事案の場合は、システム部門が気遣うようなセキュリティ要件の説明や、また、経営者向けにはソリューション導入に対する費用対効果などを盛り込むなどの対応を行うことが考えられます。

このように購買担当者だけではなく、対象企業内での購買選択や決裁がスムーズに進むような内容を盛り込むことで、自社製品の訴求力をより強くすることができます。

反対にBtoCとBtoB共通の課題は次のような点です。

  • まず始めに、自社のターゲットとする顧客像を明確にしておく必要がある。
  • その上で、リードが「どの購買プロセス上でどのような状態なのか」、また「どのような気持ちなのか」をできるだけ正確に把握することが重要である、
  • リードの状態に即したタイミングで、最適な内容の情報提供やアプロ―チを行う必要がある。これによりマーケティングオートメーションを活用する上での精度が上がり、より多くの成果が期待できる。

まとめ

  • BtoCとBtoBの購買プロセスや主な購買決定要因には違いがあり、マーケティングオートメーションを活用する際は、それらを把握した上で施策を行うべきである
  • 主な違いは、BtoCの場合は感情による購買判断が働くことがあるがBtoBでは論理的な判断が主であること、またBtoBはBtoCに比べて購買決定までの期間が長く、購買プロセスに関わる人間が多く存在することなどがある
  • 両者の共通の課題としては、ターゲット顧客の明確化やリード状態の把握、またそれに合わせたアプロ―チが必要なことなどがある

いかがでしたでしょうか。どのようなマーケティング活動でも同じように、「自分の顧客を知る」ということがやはり基本中の基本です。逆にマーケティングオートメーションを活用し、さまざまな検証を行えば今まで以上に顧客のことを知ることも可能です。ぜひ活用してみてください。

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