新規開拓のノウハウを科学する

製造業BtoB企業が売上アップと会社の成長を目指す場合、新規見込み客への拡販は不可欠で重要な要素になります。
したがって、新規開拓に取り組んでいく必要がありますが、限られたマンパワーと時間の中で実行しなければならないので、効率性が求められます。
製造業BtoBビジネスにおいて新規開拓を進めていくうえで、どのような手法を取り入れていけば限られたリソースで効率よく展開していけるかを深掘りしていきましょう。

新規開拓のノウハウを科学する

製造業BtoB企業が売上アップと会社の成長を目指す場合、新規見込み客への拡販は不可欠で重要な要素になります。

したがって、新規開拓に取り組んでいく必要がありますが、限られたマンパワーと時間の中で実行しなければならないので、効率性が求められます。
製造業BtoBビジネスにおいて新規開拓を進めていくうえで、どのような手法を取り入れていけば限られたリソースで効率よく展開していけるかを深掘りしていきましょう。

新規の定義と分類

まず、製造業BtoBビジネスにおける「新規」の定義ですが、自社製品を使ったことがあるかどうか(購入したことがあるかどうか)が基準になるので、使ったことがない(購入したことがない)見込み客は新規見込み客といえます。
具体的には、展示会来場者で名刺交換はしたことがある、もしくはホームページやポータルサイトから問合せがきたことはあるが、その後取引(購入)に至っていない見込み客は全て新規見込み客ということになるのです。
また、新規見込み客は3つの種類に分類できます。

分類①としては、「製品新規」です。仮にW電気という会社の生産技術部Aさんは製品V100を購入しているが、別製品Y200は購入しておらず他社の同等製品を購入しているとするなら、Y200は「製品新規」になります。取扱製品が多い企業では「製品新規」の見込み客件数は多くなる傾向になるでしょう。

分類②としては、「担当者新規」です。仮にZ自動車という会社の生産技術1課のBさんは自社製品を購入しているが、生産技術2課のCさんは購入しておらず他社製品を購入しているとするなら、Cさんは「担当者新規」になります。客先企業規模が大きくなるほど「担当者新規」の量は多くなる傾向になるでしょう。

分類③としては、「会社新規」です。一般的に製造業BtoB企業でいうところの新規は、この「会社新規」を指すことが多く、意味合いは言わずと知れてですが、自社製品を使ったことがない(購入したことがない)客先企業になります。ハウスリスト(自社保有顧客リスト)が多い企業ほど「会社新規」の量は多くなる傾向になるでしょう。

これら3種類の新規見込み客へのアプローチ/開拓手法は大きく異なるため、種類ごとにどのような開拓方法が適しているのかをこれからご紹介していきます。

「製品新規」先へのアプローチ/開拓手法

「製品新規」先へのアプローチ/開拓手法は比較的シンプルです。なぜなら客先担当者自体は既存客で取引もあるため、営業マンとも人間関係ができているケースが多いからです。

ただ、ここで一番気をつけなければいけないのは、自社が取り扱っている製品の競合同等品を客先が使用しているという事実を知らない(把握できていない)ということになります。

よって、既存客先担当者へ営業フォローをする時には常日頃から自社製品を幅広くPRする中で、競合他社の同等製品を使っているかどうかをヒアリングすることや、定期的に設備仕様書/部品表を見せてもらうようにするなどしてアンテナを張り巡らせておく必要があります。

そこで、競合他社製品を使用している情報をキャッチできたら、購入理由(選定理由)を確認したうえで自社に置き換えるメリットを訴求しひっくり返しを狙っていけば、「製品新規」導入によって売上アップへ直結することになるでしょう。

尚、マーケティング用語の「クロスセル」/「アップセル」はこの「製品新規」からの売上を意味します。

「担当者新規」先へのアプローチ/開拓手法

「担当者新規」へのアプローチ/開拓は、ある意味盲点となっていて取り組めていない製造業BtoB企業が多いようです。
理由としては、現在取引している担当者からの売上で満足していることや、別の担当者は自社製品を使うことはないと思い込んでしまっていることがあげられます。

そこで、取り組むべきこととしては、客先企業の組織把握になります。
先述したとおり、客先企業規模が大きくなればなるほど必然的に客先担当者が多くなるので、例えば、生産技術部の中でも、生産技術1課~3課に分かれているケースや、生産技術1課の中でもグループが分かれていることが大手企業組織の代表的な姿です。
そして、それらの課やグループにはキーマンがいるはずなので、その担当者を
現在取引がある既存担当者にヒアリングして紹介をもらったうえで、営業アプローチをしていきます。

アプローチ手法の例としては、既存担当者への導入製品と用途例を書面にまとめて提示したうえで、同じような用途で導入してもらえる余地がないかどうかや、その部署/グループ特有の課題をヒアリングしたうえで新たに提案できることはないかを探っていくことになります。

そのプロセスを繰り返しながら横展開を図っていけば、いずれ案件に辿り着き、「担当者新規」への導入によって売上の上乗せに結び付けられるでしょう。

「会社新規」先へのアプローチ/開拓手法

新規開拓で最も難易度が高いのが「会社新規」になります。
その一番の理由は、量が非常に多いためどこから手を付ければいいかの判断がつきにくいからです。

おそらくハウスリストの全体に占める7~8割程度は「会社新規」の見込み客になるので、仮にハウスリストが1000件あるとしたら、そのうちの7~800件程度は「会社新規」の見込み客ということになります。

したがって、「会社新規」へアプローチ/開拓する場合、いかに効率よく行うかが最も重要なポイントになるので、そのノウハウ的手法を3つご提示しましょう。

ターゲティング

「会社新規」開拓を行うにあたり絶対にやってはいけないが、闇雲にアプローチを開始することで、行き当たりばったりで動いてしまうと効率は極めて悪くなり、かけた工数に対する効果もほとんど期待できなくなります。

そこで、最初にやるべきことが「ターゲティング」になります。要は狙い先を絞るのです。

ターゲティング手法はいろいろ考えられますが、製造業BtoBビジネスでよく使われるターゲティングのパラメータ(要素)はこれらのものになります。

≪顧客属性情報≫ 業種、業態、企業規模、職種、役職 etc
≪顧客行動情報≫ 展示会来場、セミナー参加、フォーム回答、資料ダウンロード、Webページ閲覧 etc

これらのパラメータを掛け合わせて優先的にアプローチするターゲットを決めることで、効率よく狙いをつけた「会社新規」開拓を行えるようになるのです。
ターゲティングイメージ

ターゲティングについてはこちらの記事も参考にしてください。
≪マーケティングの基礎の基礎 ターゲティングとは?≫

リードナーチャリング

コンタクトが途絶えて確度が不透明になっている新規見込み客リストが1000件以上ある場合は、リードナーチャリングの施策を行い、自社製品への興味関心度や検討度合いが高まった新規見込み客の方から手を挙げてもらうように仕向けます。

そうすることで、どの製品に興味関心があり何をしてほしいのかが把握できたうえでピンポイントに有望な新規見込み客へアプローチできるようになるため、「会社新規」開拓に関する業務を大幅に効率アップでき、掛け捨て工数も削減できるようになるのです。

リードナーチャリング手法に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
≪展示会の効果を最大限高める方法≫

スコアリング

ターゲティングとリードナーチャリングでの「会社新規」開拓を継続して行う中で、成功パターンと失敗パターンがみえてきます。成功パターンの例でいうとこんな感じです。

≪ターゲティングの成功パターン例≫
機械要素技術展に来場したことがある自動車業界の機械設計担当者には、製品ABCについて○△測定という用途事例でアプローチした場合、成約率が50%を超える。

≪リードナーチャリングの成功パターン例≫
メール配信にて、製品XYZについて食品業界での▽○ライン導入事例紹介コンテンツを送った時に、資料ダウンロードがあり、その後1か月間以内にホームページの製品XYZ導入事例ページへ3回以上訪れる新規見込み客を営業フォローした場合、成約率が60%を超える。

そのようなデータが蓄積したいった場合に、「会社新規」開拓の大きな武器になるのがスコアリングになります。

スコアリングとは、ターゲティングでふれたような顧客属性情報や顧客行動情報のパラメータに対して任意にスコア設定し、最終的にその合算点数にて確度付けをする手法です。

したがって、成功パターンに含まれるパラメータに高いスコアを設定し、失敗パターンに含まれるパラメータに低いスコアを設定すれば、自ずと確度の高い「会社新規」見込み客を抽出することができるようになり、新規営業の優先順位付けを仕組み化できるようになります。

尚、このスコアリングを手動で行うのは相当な手間がかかるので、弊社が手掛けている「MRC(マーケライズクラウド)」に組み込まれているスコアリング機能などを用いて自動化することをお勧めいたします。
https://www.markerise.com/system/scoring00.html

まとめ

製造業BtoB企業が永続的に成長をしていくためには、新規開拓を継続的に取り組んでいかなければいけませんが、ほとんどの企業はリソースの問題で満足に取り組めていないのが現状かと思います。

今回ご紹介した新規開拓手法を取り入れることで、効果と効率を同時に高めることができ、最終的に売上アップへ直結できるので、まだ着手できていない企業はすぐに取り組みはじめましょう。

  • 製造業BtoB企業のためのメールマーケティングガイドブック