「ファンクショナル・アプローチ」で、困難な課題をスマートに解決

「ファンクショナル・アプローチ」で、困難な課題をスマートに解決

「ファンクショナル・アプローチ」で、困難な課題をスマートに解決

問題の解決策を考える際に堂々巡りに陥ってしまい、突破口が見いだせなくなってしまう場合があります。そのような場合は、これまでの方法や固定観念にとらわれずに、今までとは違った考え方やアプローチが必要なのかもしれません。その際に問題解決の手助けとなるのが、本日ご紹介する「ファンクショナル・アプローチ」です。

ファンクショナル・アプローチとは

ファンクショナル・アプローチは、1947年GE(ゼネラル・エレクトリック)の元技術者であったローレンス・D・マイルズ氏によって提唱されました。当時調達関連の研究職に就いていた氏は、「材料を買うのではなく、ファンクションを買うべきだ」ということを発見。

「適切なファンクションと適切なコストがあるものに価値がある」という法則を見出し、それを「バリュー・アナリシス・ファンクショナル・アプローチ」と名付けました。ファンクショナル・アプローチは、物事を「ファンクション=機能」として捉えることによって、今までにない視点で価値判断をしたり問題解決したりするアプローチです。

ファンクショナル・アプローチの理論では、世の中に存在するものはすべて「カタチ」として人間が認識します。ここで言うカタチとは、物理的な形状だけではなく、抽象的な出来事の状態も含むもので、「モノ」と「コト」との総称です。例えば本を読む際には、「本」というモノが眼の前にあり、それを「読む」という行為がコトとして存在します。

そしてそれらのモノやコトを表すものとして、「本」や「読む」などのカタチがあるからこそ、人同士で共通の認識を得ることができるという訳です。ファンクショナル・アプローチで用いられる「ファンクション」は、そのカタチの背後に存在する物事(モノとコト)の「本質」や「目的」を表します。

上の例で言うと、本や読むのはその本に書かれている知識や物語を知りたいからであって、通常はその本そのものや読むこと自体に意味や価値はありません。「知識を習得」したり、「物語を楽しむ」ことがファンクションで、そのために、人は本を購入したり、それを読む時間を設けます。言い換えると、カタチはファンクションを実現するためにそこに存在できる、ということができます。

私たちが問題の解決を試みようとする時、それが発生した時と同じレベルの意識で臨んでしまうと、先入観や固定観念の捉えられてしまい、問題の難易度が高ければ高いほど、すぐには解決の糸口が見えなくなってしまう場合があります。その際には、前述のモノゴトのカタチから一旦離れ、ファンクションの概念で考えることで、固定観念から離れ、自由な発想で問題解決を試みることができるようになります。このような問題解決アプローチがファンクショナル・アプローチです。

ファンクショナル・アプローチの手順

ファンクショナル・アプローチの実際の手順は少し複雑です。しかし大まかには「分析」、「評価」、「創造」の3つの段階に分けることができます。

問題が発生した際に、すぐに解決策の検討に入らず、問題を分析することから始める必要があります。そうすることで問題を客観的に捉え、先入観などからも逃れることができます。そして実際の問題解決は、従来の方法や他社の事例を再現するような策ではなく、新たな創造によって解決策を生み出すことをしなければなりません。最後に、その解決策の欠点を削ぎ落とすと同時に、利点をより効果的にすることで、さらに磨き上げていきます。

ファンクショナル・アプローチの5原則

実際のファンクショナル・アプローチは、さまざまな複雑で細かなプロセスを通じて問題を解決に導きますが、それらを実施していく上で守られなくてはならない「5つの原則」があります。

機能本位

発想や思考の中心を「機能」にします。機能から考え、そして機能の視点で評価します。カタチからモノゴトを判断すると既成概念にとらわれやすくなりますが、機能=ファンクションで捉えることでモノゴトの本質を見極め、かつ新しい発想の解決策を見いだすことが可能になります。これは「そもそも何がしたいのか?」を常に意識しながら問題解決に取り組むことでもあります。

使用者優先

提供者の立場ではなく、使用者の立場で思考、評価すること。それが「使用者優先」です。一般的な製品開発などでは、ユーザー志向や消費者志向などと呼ばれるものです。製品やサービスの提供者としての立場や視点で解決手段を考えるよりも、使用者の視点で考える方が優れた方法だと言われています。

創造による変更

過去の模倣や再現ではなく、創造性をもって新たに独自性のある代替案を発見することを意味します。過去の模倣は検証済の手法であるために、細かな問題の解決には有効ですが、固定観念の束縛を受けやすく、大きな問題の解決には阻害要因となる場合があります。そのような場合には、この「創造による変更」によって、根本的な改善アプローチを試みる必要があります。

チームデザイン

単なるチーム内での作業分担ではなく、1つのテーマを複数のメンバーが協働で解決するクリエイティブなアプローチが「チームデザイン」です。メンバー同士の意見交換を通じてチームで思考することで、個人では発想できなかった解決方法を生み出します。

価値向上の原則

さまざまなモノゴトの価値(V)を、「機能(F)÷コスト(C)」として捉え、単に機能向上やコスト削減のみに意味を見いだすのではなく、それらを母数とした「価値の向上」を目指す考え方です。価値(V)向上のためには、「Fを少し下げてCを大きく下げる」、「FはそのままでCを下げる」、「Fを少し上げてCを少し下げる」など全5パターンが提唱されています。

まとめ

  • ファンクショナル・アプローチとは、物事を「ファンクション=機能」として捉え、今までにない視点で問題解決を試みるアプローチ方法

  • 「分析」「評価」「創造」の手順を踏んで、課題解決に結びつける

  • 機能本位、使用者優先、創造による変更、チームデザイン、価値向上の5つのアプローチにおける原則がある

ファンクショナル・アプローチは、元々製造業であるGEにおいて、原材料などの調達における課題を解決してその合理化を目指すことを目的に発案されたアプローチ方法です。
従って製造業におけるさまざまな課題解決に有効性が確認されています。但し実際のプロセスは複雑で、セミナーなどをしっかりと受講しなければ身につけることが困難です。興味がある方はぜひセミナーなどに積極的に参加してみてください。

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