販促/マーケティング部門と営業部門がWin-Winになるための5ステップ
製造業BtoB企業の販促/マーケティング担当者と対話をする中で、このような愚痴をよく聞きます。「せっかく苦労して展示会でたくさんの見込み客を集めて営業にパスしても全然ちゃんとフォローしてくれない」
一方、営業担当者からは、こんな発言をよく耳にします。「マーケティングが展示会で集めてくるのは営業につながらない見込み客ばかりで、予算を掛け捨てにしている」
BtoBビジネスにおいて売上アップを目指すには、販促/マーケティング部門と営業部門の協調は不可欠で、そのような両者の溝は早急に埋める必要があるため、それを解決する方法を考えていかなければいけません。
この記事の目次
製造業BtoB企業の販促/マーケティング担当者と対話をする中で、このような愚痴をよく聞きます。「せっかく苦労して展示会でたくさんの見込み客を集めて営業にパスしても全然ちゃんとフォローしてくれない」
一方、営業担当者からは、こんな発言をよく耳にします。「マーケティングが展示会で集めてくるのは営業につながらない見込み客ばかりで、予算を掛け捨てにしている」
BtoBビジネスにおいて売上アップを目指すには、販促/マーケティング部門と営業部門の協調は不可欠で、そのような両者の溝は早急に埋める必要があるため、それを解決する方法を考えていかなければいけません。
販促/マーケティング部門の役割と使命
まず、販促/マーケティング部門の役割と使命を考えてみましょう。
製造業BtoBマーケティングを、「営業につなげるためのあらゆる施策活動を行うこと」と定義した場合、メインの役割としては、潜在見込み客を発掘し、より多くの見込み客を集客して、それらを営業マンへ受け渡すということになるのではないでしょうか。
その使命を果たすために取り組んでいる代表的な施策が、「展示会出展」・「セミナー開催」・「自社Webサイト更新」・「Web広告出稿(ポータルサイト含む)」といったところになります。
よって、それらのマーケティング施策から、営業につながる見込み客の集客を増やせば増やすほどマーケティング効果を打ち出せたといえるでしょう。
営業部門の役割と使命
次に、営業部門の役割と使命を考えてみましょう。
営業の定義は言わずと知れてですが、「モノ(製品)を売る行為全般の活動」になり、売上を今以上に増やすことが役割になります。
その使命を果たすために、取り組んでいる代表的な施策としては、「売上の大部分を占める重点既存客への深掘り」・「休眠顧客への掘り起こし」・「顧客数を拡大するための新規開拓」といったところになるでしょう。
よって、それらのアクションから売上アップにつながっていけば、営業施策によって営業成果が打ち出せたといえるのではないでしょうか。
販促/マーケティング部門と営業部門にギャップが生じる理由
ではここで、冒頭の両部門からのコメントにあったような、販促/マーケティング部門と営業部門との間のギャップはなぜ生じてしまうのかを考えてみましょう。
結論からいうと、一番の原因は、新規見込み客に対して重要視しているポイントが、両部門で異なるからになります。つまり、販促/マーケティング部門は「量(数)」を重要視し、営業部門は「質」を重要視しているのです。
その理由は、先に述べたように、両部門は役割と使命が異なるので、効果指標が違うことに起因しています。
販促/マーケティング部門は、新規見込み客リスト集客の件数を増やそうとすればするほど、それに反してその中に占める「今すぐ営業直結客先」の割合は下がるため、見込み客の質は低くなります。
よって、その集客リスト先へ営業部門がフォローアップをしても、すぐ営業につながるケースはほとんど発生しないということになり、最終的に営業の優先順位が下がりフォローしなくなってしまうのです。
両部門連携ベストプラクティス構築の5ステップ
そこで、そのような問題を解決して両部門が「Win-Win」の関係になるための連携ベストプラクティスを構築するヒントを、これから5つのステップに沿って紹介していきます。
ステップ1:両部門共通の目標を設定
両部門の役割と使命は異なりますが、売上アップという大目的は共通なので、そこへ通じる共通の目標を設定することが、最初に着手すべきことになります。
両部門に共通しているパラメータは新規見込み客になりますので、それに関する目標を各部門で設定するのが 最も適しており、例としては下記のような目標になります。
≪営業目標≫
新規客先からの今期売上目標:3,000万円 達成
≪マーケティング目標≫
新規「有望見込み客」の今期集客目標:100件 達成
ステップ2:有望見込み客についての定義設定
先述のように、新規見込み客に関する量と質の問題で両部門に溝ができてしまっているので、その溝を埋めるべく質の高い(すぐ営業活動に直結できる)有望見込み客を営業部門へパスする必要があります。
そのためには、有望見込み客とは何たるかを定義づけする必要があり、それは両部門で最初にしっかりと打合せをして決める必要があります。
その指標となる代表的なパラメータ例は下記のものになります。
「業種」、「企業規模」、「職種」、「役職」、「興味のある製品」、「検討度合い」、「案件情報」
それらを両部門で打合せして決めたうえで、その情報を取るための仕掛けを施すのですが、具体策としてはイベント(展示会・セミナー等)でのアンケートやWebサイトでのアンケートフォームでの情報収集になります。
ステップ3:確度・優先順位についての定義設定
有望見込み客の定義を決めたうえで、さらに営業効率と精度を上げるために取り組むべきことは、確度や優先順位の定義づけになります。
確度付けや優先順位付けをする上で重要なポイントは客観的なデータに基づいて行うようにすることです。 最もお勧めする手法は、顧客属性情報や顧客行動情報に対して任意にスコア設定し、最終的にその合算点数にて確度判定をして優先順位付けをすることになります。
例えばこのようなスコア設定をしたとします。
見込み客情報 | スコア |
---|---|
展示会来場 | 10 |
業種:自動車 | 20 |
役職:部長以上 | 10 |
Webページ(製品ABC紹介ページ)閲覧3回以上 | 30 |
Webページ(製品ABC紹介ページ)閲覧5分以上 | 40 |
製品ABC紹介 メール配信にて資料ダウンロードあり | 20 |
製品ABC Webアンケートフォーム回答:現在検討中 | 50 |
そうした時に、1か月間(30日間)等の一定スパンでみた時に、見込み客ごとに合算点数がでます。
「見込み客A:70点」「見込み客B:100点」「見込み客C:150点」といった具合です。
仮に、両部門での事前打合せで、1か月間(30日間)の合算点数が120点を超えた見込み客は「確度:高/優先度:高」と定義づけしておけば、上記の「見込み客C」へは即営業フォローをする必要があるということになります。
このような手法を「リードスコアリング」といい、これによって個人の主観や直感に依存するのではなく、見込み客の属性情報や行動情報に基づいた客観的なデータを数値化して確度付けが行えるようになるため、新規営業の優先順位付けの仕組み化が実現できるようになるのです。
尚、このスコアリングを手動で行うのは相当な手間がかかるので、弊社が手掛けている「MRC(マーケライズクラウド)」に組み込まれているスコアリング機能などを用いて自動化することをお勧めいたします。
ステップ4:リードナーチャリング施策の実施
では、有望見込み客の定義から外れた大多数の見込み客リストは、そのまま放置して眠らせてしまっていいいかというと、決してそんなことはありません。
集客時点では、今すぐの有望見込み客でなくても、しばらく時間が経ってから検討案件が発生し有望見込み客になる可能性があるからです。
ただし、そのタイミングは売り手側からは掴みようがなく、かといってタイミングを逃すと競合他社に声がかかってしまい機会損失をしてしまう可能性もでてきます。
それを避けるために実施する施策が、「リードナーチャリング」(見込み客育成/啓蒙)で、この施策は販促/マーケティング部門が主導で行うことになります。
リードナーチャリングに関する詳細はこちらをご覧ください。
≪展示会の効果を最大限高める方法≫
ステップ5:両部門合同ミーティングの実施
PDCA(PLAN-DO-CHECK-ACTION)という言葉あるように、ステップ1~4の状況と結果については定期的に チェックを行い、必要に応じて修正を加えていく必要があります。
それを円滑に行うためには、両部門合同で定例的に打合せする場をもち、意見交換しながら進めていくことが最終的な効果を高めるうえで極めて重要な要素になってきますので、月1回程度は合同ミーティングを実施するようにしましょう。
まとめ
製造業BtoB企業において、販促/マーケティングと営業は自動車に例えると両輪になるため、どちらがおかしくなっても、前に進んでいくことはできません。
よって、売上アップを目指す場合、両部門が連携することは不可欠ですが、役割や使命の違いから溝が生じてしまっている企業が散見されるのが事実です。
ついては、今回ご紹介した手法を実践することでその溝をとっぱらい、販促/マーケティング部門と営業部門の補完体制を整えたうえで、両部門間でWin-Winの関係が構築できれば、確実に売上アップにつなげていけるでしょう。