深く知ってさらに有効活用!データ視点で見たマーケティングオートメーション

今回は、「データ」という切り口でマーケティングオートメーションの特徴を解説します。普段はあまり取り上げられる視点ではありませんが、取り扱われるデータに関して理解しておくことはさまざまな施策を行う上でも大切なことですので、ぜひ参考にしてください。

深く知ってさらに有効活用!データ視点で見たマーケティングオートメーション

マーケティングオートメーションは、今までマーケティング担当者がが、手作業や感覚で行っていた各種のマーケティング活動を、さまざまなデータに基づいて科学的かつ合理的に行うことによって、マーケティングの効率を上げることができるツールです。

マーケティングオートメーションには、リードナーチャリングやスコアリングなどの機能がありますが、それらの機能を裏で支えているのが、さまざまなデータを収集したり管理したりするデータ機能です。これにより、さまざまな情報を正確に効率良く収集することで、マーケティングオートメーションが有効に働き、マーケティング活動の精度を上げることに貢献することができます。

今回は、「データ」という切り口でマーケティングオートメーションの特徴を解説します。普段はあまり取り上げられる視点ではありませんが、取り扱われるデータに関して理解しておくことはさまざまな施策を行う上でも大切なことですので、ぜひ参考にしてください。

マーケティングオートメーションで管理する情報の種類

見込客(リード)を特定する個別情報

リードを一意に特定するための情報です。一般的にはメールアドレスをキーとして用いる場合が多く、同じメールアドレスなら同じリード、違うメールアドレスなら違うリードとして判断します。これにより、法人のリードであれば部署異動が発生しても通常は同じリードとして引き継がれ、転職してメールアドレスが変わった場合は、違うリードとして取り扱われることになります。

リード特定する補足的な情報としては、氏名や企業名、部署名、生年月日などがあり、名寄せする場合には、同じメールアドレスのリードが本当に同じリードかどうかを判断する材料に使用されます。
リードを正確に特定できなければ精度の高いマーケティング活動を行うことができないため、リードの特定情報はマーケティングオートメーションにおいて最も基本かつ重要な情報です。

リードの属性情報

リード属性情報とは、リードの基本的な特徴を表した情報です。例えば、法人の場合は業界や資本金、担当者所属部署や役職など、個人の場合は性別や年齢、居住地域や年収などがあります。

対象のリードをセグメントとして施策を行う場合の最も基本的な項目となりますので、効率良くできるだけ詳細の情報を入手し、厳格に管理する必要のある情報です。

WEBでの行動履歴情報

マーケティングオートメーションでは、リードがどのような行動を取ったのかを追跡することでリードの状態を把握し、それをマーケティング活動に生かします。リードの行動情報の代表的なものが、Web上での行動履歴です。それぞれ個別のリードがどのようなページをいつ閲覧したのか、また、アンケート回答や資料ダウンロードの履歴などの情報がこれに当たります。

これらの情報は、特定のリードがどのような情報にどの程度興味があるのか、などを判断する際の基準として利用されます。

メールの配信/レスポンス情報

Webの行動履歴と合わせて、リードの状態を把握する情報がメールの配信履歴やそのメールに対するレスポンスです。

マーケティングオートメーションでは、メールを用いたコミュニケーションを行うケースが多く、どのリードにどのようなメールを配信したか、また、そのメールに対するレスポンス情報は、Web行動履歴と合わせてリードの状態を把握するために利用されます。

リアルのコンタクト情報

Webやメール以外にも、セミナーや展示会、また営業や店舗などでリードとコンタクトが発生する場合があります。

そのような際のコンタクト情報、例えばコンタクト日時やアンケート、ヒアリング内容などをマーケティングオートメーションにアップロードしておきます。これらはWeb行動履歴などの他の行動情報と合わせて各リードと紐づけておくことで、リードのより詳しい状態を知ることができます。

データ収集の方法

それでは、これらの情報をどのように収集するのかを見てみましょう。

リードの特定情報や属性情報の収集

リードの特定情報や属性情報を収集することは、新規のリードを開拓するということとほぼ同じ意味になります。新規のリード開拓にはさまざまな方法がありますが、マーケティングオートメーションを活用することで、効率よく新規リードの情報を収集することができます。

問い合わせやアンケート受付

マーケティングオートメーション中には、問い合わせやアンケートで利用するフォームを生成する機能を持つものがあります。このフォーム生成機能を利用すれば、リードが入力したメールアドレスや属性情報などが自動的にデータベースに蓄えられ、リード情報として登録されます。

資料ダウンロード

Webサイト上から製品情報やソリューション、ホワイトペーパーなどの資料をダウンロード出来るようにしているケースが多くあります。このような資料ダウンロード時に、リード情報を入力することを条件することで情報を収集します。資料ダウンロード時は、どのような資料をダウンロードしたかも分かるので、顧客の興味対象などの情報も同時に得ることができます。

多くは、このような情報もマーケティングオートメーションで自動収集することができます。

会員登録やメルマガ登録

何らかの会員サービスを行っている場合や、メールマガジンの発行を行っている場合はそのサービスに登録いただくことによって、基本情報を収集することができます。

イベント来場や営業活動、店舗での接客など

Web上だけではなくリアルな場のイベントや活動で新たに得たリード情報も、新たなリード情報として重要です。各担当者レベルで管理するのではなく、マーケティングオートメーションにアップロードして他のリード情報と共に一元化して管理しましょう。

新規でリードの情報を収集する際のポイントは、情報を登録することへのメリットをいかに訴求するかと、情報登録時の操作がリードの負担にならないことです。また、短期間に多く新規リードを集めたい場合は、Web広告などを活用します。

WEBでの行動履歴情報やメールの配信/レスポンス情報など

Webでの行動履歴情報やメールの配信/レスポンス情報などは、そのほとんどがマーケティングオートメーションを利用すれば自動的に収集可能です。しかしそれらの情報がどのリードのものなのかという、「リードとの紐づけ」を効率よく行うことができる仕組みを作っておかなければ価値の高い情報が集まりません。

メールの配信情報は、配信時にリード情報に基づいて行われますので問題ありませんが、そのレスポンス情報やWeb上での行動履歴の場合は、メールからリンクされるフォームを予め用意しておく、またWeb上ではリードの認証機能を設けておくなどの方法で、リードとの紐づけを行います。

これらも、自社のWebサイトとマーケティングオートメーションを連携させることで、比較的簡単に行うことができます。

このようにデータは活用される

それでは、これらの情報は実際にはどのように活用されているのでしょうか。具体的な例を見てみましょう。

成約や購入の可能性が高いホットリードやキャンペーン対象をピックアップする

直近の行動情報から、成約や購入の可能性が高いリードを抽出し、営業部門にアプローチリストを渡したり、キャンペーンの案内をするなど、いわゆるホットリード的な使い方があります。シンプルな方法ですが、タイミングを逸することなくアプローチすることができますので非常に効果的な方法です。

一般的にホットリードの抽出には、リードの行動情報を一定の基準でポイント化して判断するスコアリングの方法が用いられます。

例えばA商品の詳細ページを閲覧していれば○点、価格表は〇点、同じA商品の先月実施した展示会に来場していたら○点など、それぞれの行動に対して任意のポイントを付与しその合計値が閾値より高ければ成約の可能性が高いと判断し、ホットリードとします。留意しなければならないのは、「直近1ケ月の行動」など適切な期間を設けなければ、必ずしも今の状態を表さないものになってしまいます。

また、キャンペーン案内をし、そのメールに反応があったリードを対象にさらに深く突っ込んだオファーを出す、という施策も考えられます。反応があったということは一定以上の興味を持っているということですので、その前提で具体的で絞り込んだ内容のオファーをすると効果があります。

リードナーチャリング的な活用方法

リードを顧客化するための施策であるリードナーチャリングは、マーケティングオートメーションの主な活用方法の1つです。リードナーチャリングを効果的に行うためには、そのリードの属性や状態にマッチした情報をタイミング良く届けることが重要です。マーケティングオートメーションでさまざまな情報を的確に管理しておくことで、効果のあるリードナーチャリングが可能になります。

例えば、業界別などでリードをセグメントした上で、行動情報からリードの状態を推測し、そこから推測される購買プロセスにマッチした情報を適宜提供していく、というような方法が用いられます。マーケティングオートメーションによっては、このような一連の方法をシナリオ化して自動で行うものもあります。

その他にも、リードの属性情報や状態を詳しく分析し、逆にそこから新たな施策を企画していくというような活用方法も有効です。

まとめ

  • マーケティングオートメーションは、リードの属性情報や行動情報などのさまざまな情報管理し活用することでマーケティング活動を効率化する機能を実現させている

  • リードの情報は、マーケティングオートメーションの機能もフルに活用して、効率良く収集していくことが必要である

  • 収集されたデータは、ホットリード抽出やリードナーチャリングなど、マーケティングオートメーションの多くの機能でさまざまな形で活用されている

いかがでしたでしょうか。今回はデータから見たマーケティングオートメーションについて解説しました。このような視点で見てみることで新たな活用方法や、より深くマーケティングオートメーションを活用する方法が見つかるかもしれません。

  • マーケティングオートメーションツール選定ガイドブック