導入の前に知っておきたい! 成功するためのマーケティングオートメーションの基礎

「マーケティングオートメーションを導入しても思ったような成果が上がらない…」
その原因として考えられるのが、導入前に必要な準備をしっかりと行っていないこと。
そこで今回は、マーケティングオートメーションの能力を正しく活用して、思い通りの成果を上げるために必須となる導入準備について解説します。導入検討中の方はぜひ参考にしてください。

導入の前に知っておきたい! 成功するためのマーケティングオートメーションの基礎

「マーケティングオートメーションを導入しても思ったような成果が上がらない…」
その原因として考えられるのが、導入前に必要な準備をしっかりと行っていないこと。
そこで今回は、マーケティングオートメーションの能力を正しく活用して、思い通りの成果を上げるために必須となる導入準備について解説します。導入検討中の方はぜひ参考にしてください。

マーケティングオートメーションの役割を知る

マーケティングオートメーションを導入する前にまず確認しておかなければならないのは、マーケティングオートメーションでどのようなことが実現できて何ができないのか? ということです。これを正しく認識しておかなければ、導入する目的がぶれてしまい、導入後に思ったような成果が出せなくなる可能性があります。

マーケティングオートメーションは、マーケティング活動を行うに当たって、必要な調査や処理などの作業を自動化し、マーケティング活動の効率を向上させることにその真価があります。また作業を自動化させることにより、マーケッターは今まで以上にプランニングや効果検証などのよりインテリジェンスな部分に集中できるというメリットを生み出します。

具体的にマーケティングオートメーションには次のような機能があります。

  • リード(見込)情報の適切な管理
  • リードの行動履歴(ログ)のトレースによる、スコアリング(見込度合いなどの評価)
  • メールなどのコンテンツ配信の適正化による、リードナーチャリング
  • ホットリードの抽出、営業部門との共有
  • 必要に応じた、メール配信やランディングページ、フォームなどの作成

反対にマーケティングオートメーションは、勝手に新規顧客を発掘してきてくれたり、自動的に売上を上げてくれるものではないということを認識しておく必要があります。前述のようにリードのスコアリングの状態などにより、適切なメールなどのコンテンツを配信し、リードの受注確率を上げる機能は持っていますが、あくまで事前にプランニングしたやり方や基準に基づいて行われます。

またマーケティングオートメーションは単なるコンテンツ配信ツールであると解釈されるケースもありますが、スコアリングやリードナーチャリングなどのリード管理機能と連携してコンテンツ配信を行うための機能でので、そういった解釈も正しい認識とは言えません。

以上のように、マーケティングオートメーションは、マーケティング活動を全て自動的に行ってくれるツールではありませんが、マーケッターのやりたいことや実現したいことを忠実かつ効率よく実現してくれる優秀な秘書的存在であると言えるでしょう。

最も重要なのは「導入の目的」を明確にしておくこと

「何のためにマーケティングオートメーションシステムを導入するのか?」
「マーケティングオートメーションシステムを導入して、どのような事を達成したいのか? どのような課題を解決したいのか?」
マーケティングオートメーションを導入する際に最も重要なのは、その目的を明確にしておくことです。もし導入の目的を明確にできない段階であれば、もう少し検討を重ねてからでも遅くはないでしょう。

マーケティングオートメーションの役割は先に申し上げた通り、マーケティング活動の重要な部分を自動化することによって、大幅にマーケティング効率を向上させることにありますが、それによって達成できることは、企業の状況や課題によって千差万別です。

例えば、
「営業マンのキャパシティが一杯で、新規顧客を開拓する余裕がない」
「営業マンの受注効率が落ちてきている」
「せっかくイベントやセミナーなどで見込顧客リストを集めても、うまく活用できていない」
など、具体的な課題解決の方法としてマーケティングオートメーションを位置付ける必要があります。

マーケティングオートメーション導入によって「ただ何となく売り上げが上がるのでは?」という認識では、導入効果はあまり期待できません。また、マーケティングオートメーションは「万能のツール」ではありあませんので、必ずしもどのような課題に対しても効果的という訳でもありません。

それではどのような課題の解決に適しているのかを検討してみましょう。

マーケティングオートメーションは、収集したリード情報に対して行動履歴をトレースし、それに基づいたスコアリングにより効果的にリードナーチャリングを行うところに最も強みを持っています。従って、比較的購買プロセスが長くて複雑なBtoB取引や、BtoCでも高額商品の取引に活用することで最も成果を期待できます。もちろん短期的な販売促進にも効果を発揮することはできますが、それのみの機能であれば他のツールでも代替は可能です。

上記で挙げた課題例の「営業マンの受注効率低下」の場合、「見込度合いの低いターゲットにアプローチしてしまっている」ということがその原因の1つとして考えられます。この場合、マーケティングオートメーションを利用して十分にナーチャリングを行った上で、できるだけ精度の高いホットリードを営業に渡すことで、受注効率を上げることが可能になります。また、「新規顧客開拓のキャパ不足」や「セミナーなどの集客リストの活用」の課題も、集客リストをマーケティングオートメーションで運用すれば、せっかくのリストを効率的に顧客化できる可能性が高まります。

このように、自社の営業上の課題に対して、具体的な目的を明確にした後に導入することで、初めて明確な効果を得ることができます。もちろん対象とする課題は必ずしも1つに絞り込む必要はなく、複数の課題の解決を目的にしても問題はありません。重要なのはそれが明確かどうかです。

成果を出すためには事前に運用体制の構築も

さらにもう1点、導入前に検討しておきたいのが運用体制の構築です。

マーケティングオートメーションに限らず、このようなツールはうまく運用されてこそ本来の機能を発揮できるものです。そのためにはまず、強固な運用組織を構築しておくことが必要です。

マーケティングオートメーションの場合は、通常マーティング部門と営業部門とで組織横断的に活用していくことになるため、さまざまなプランニングやそれを実行する作業に対して、担当、責任などを含めた運用体制を事前に構築しておく必要があります。

誰が何を担当し、どのような事項に対して責任(および権限)を持つのかを明確にした上で、各担当者が連携して成果を出せるような組織を構築しておくことが理想と言えるでしょう。また運用組織内では、目的や判断基準のコンセンサスを十分にとっておくことも重要になります。

また、導入当初は通常いわゆる「成功の法則」がある訳ではありませんので、プロジェクト制にして、定期的に効果検証や施策、運用方法などの検討を行うことが望まれます。状況の共有と改善をスピーディ実施していくことで、具体的な成果をできるだけ早く生み出し、マーケティングオートメーション導入の費用対効果を向上させることができます。

また各担当や施策ごとにKPI値を設定しておけば、関係者間の共通認識の度合いが増し、客観的な判断や議論が行いやすくなります。

まとめ

  • マーケティングオートメーションの役割は、マーケティング活動の重要な部分を自動化することによって、大幅にマーケティング効率を向上させることである。

  • マーケティングオートメーション導入の前に、その目的を明確にしておくことが最も重要である。

  • 導入後の運用体制を事前に構築しておくことが、マーケティングオートメーション導入の費用対効果を上げることにつながる。

今回は、マーケティングオートメーションを実際に導入する際の最低限必要な準備についてお話しをしました。導入を検討される場合はぜひ参考にし、自社の課題解決に結び付けていただければと思います。

  • マーケティングオートメーションツール選定ガイドブック