だんだんイヤだとは言いにくくなる!一貫性の原理とハロー効果

製品の良さが素直に消費者に伝わり、それがすぐ購入につながれば言うことはありません。しかし製品の特徴がなかなか伝わりにくかったり、それが行動に直接結びつかなかったりすることも少なくないでしょう。そういった場合に活用したいのが一貫性の原理とハロー効果。これらによって、商品の良さを一層際立て、それをできるだけ購入行動に結びつけることが可能になります。今回はこの一貫性の原理とハロー効果について解説します。

だんだんイヤだとは言いにくくなる!一貫性の原理とハロー効果

製品の良さが素直に消費者に伝わり、それがすぐ購入につながれば言うことはありません。しかし製品の特徴がなかなか伝わりにくかったり、それが行動に直接結びつかなかったりすることも少なくないでしょう。そういった場合に活用したいのが一貫性の原理とハロー効果。これらによって、商品の良さを一層際立て、それをできるだけ購入行動に結びつけることが可能になります。今回はこの一貫性の原理とハロー効果について解説します。

一度決めたら最後まで貫き通す!「一貫性の原理とコミットメント」

一貫性の原理とコミットメント

一貫性の原理とは

一貫性の原理とは、一度態度決定したことは最後まで一貫してそれを貫こうとする心理です。最初に決めたことに対して矛盾が発生しないようにしようと行動することで、一貫した行動になります。例えば読み始めた本をそれほど面白くもないのに最後まで読んでしまったり、無駄だと思う仕事をついつい続けてしまったりするのも一貫性の原理に影響されていることが多いのです。ポイントは最初の態度決定がその後のさまざまな行動に影響を与えてしまう点です。

コミットメントとは

コミットメントは、「積極的に関わる」や「確約する」などの意味を持ちます。コミットメントによって後の一貫性原理がより明確に働くことになるので、一貫性と共に語られるケースが多くなります。

なぜ一貫性の原理が働くのか

一貫性の原理が働くのは主に次の2つの理由からだと言われています。

思考の経済性や効率性

人は日に何万回も何らかの決断や判断を行っています。その度に新たに状況判断を行っていたのでは、非常に非効率で大きなエネルギーが必要です。そこで脳は、似たような状況に対して以前に行った判断や決断を模倣することで、効率的に対応しようとします。習慣的な行動がこれに該当し、手足の動きを意識しないでも歩くことができるのがその代表例です。これにより思考の経済性や効率を高めています。

一貫した行動が社会的に評価されやすい

優柔不断な行動よりも、何らか1本筋の通った一貫性のある行動のほうが、社会的に評価されやすい傾向にあります。現実的には、必ずしも「一貫性=誠実」ではありませんが、一般的な印象としては、一貫性のある人間は、誠実で信頼できる人だと思われがちです。そのような傾向を反映して、一貫した言動によって社会的信用を得たい、という無意識の欲求が一貫性原理の働く理由の1つになっています。

一貫性原理におけるコミットメントの活用方法

コミットメントをうまく活用することで、一貫性をより明確に働かせることができます。

最初に小さなコミットメントを得る

一貫性の原理をマーケティングに応用する際には、最初に見込み客や消費者のコミットメントを得ることが重要な鍵になります。そのために使われるのが、最初に小さなコミットメントを得る、という方法です。初めからいきなり商品を購入してもらうのではなく、まず店に足を運んでもらったり、商品を手に取ってもらったりするなど、気軽で小さなコミットメントをしてもらい、その後徐々に、大きなコミットメントを取り付けることで、商品購入につながりやすくなります。

自らコミットメントしてもらう

たとえ小さなコミットメントでも、自らの意志でコミットメントしてもらうことがポイントです。人は自ら決断したことを自ら実現することで高い満足を得ることができ、それが一貫性へもつながります。仕方なくコミットメントしたり、強要したりするとコミットメントの効果は小さくなります。

第三者に公表する

自分以外誰も知らないコミットメントは、厳格な意味ではコミットメントとは言えません。「私は○○する」と第三者に公表してこそ、そこにはっきりとした責任感が生まれ、最後までやり通す意志も強くなります。

一貫性の原理とコミットメントのマーケティングへの活用例

一貫性の原理やコミットメントのマーケティングへ活用例には次のようなものがあります。

無料お試しや無料セミナーなどを実施する

まず、小さなコミットメントを得るために、最初のハードルを下げる効果があります。無料にこだわらなくても、初回半額などの方法でコミットメントのレベルを下げても効果的です。

丁重に依頼してみる

例えば上記の無料お試しを行う場合、「無料で試してください」と言われると断りやすいものですが、「無料ですので一度お試しいただけませんか?」と丁重に依頼されてしますと断りにくいものです。依頼されてはいるものの、自分の意志でコミットメントしていますのでその後の一貫性にもつながります。

SNSなどで情報発信してもらう

SNSなどで情報を発信することで第三者の目に触れて、コミットメントがより強固になります。SNSを使ったキャンペーンなどを活用して、SNSで態度表明してもらうことなどが効果的です。

後光の力で実際よりも良く見えてしまう「ハロー効果」

ハロー効果とは

ハロー効果とは、ある特徴がその物事全体の評価に大きく影響する認識バイアスの1つです。1920年アメリカの心理学者、エドワード・ソーンダイクによって提唱されました。「ハロー」は宗教画などに描かれている後光のことで、神聖なものや崇拝対象を後ろから照らすことで、威厳を高める効果があります。

身近なハロー効果の例では、英語が話せる人は仕事ができそうに見えたり、きっちりした身なりをしていると信頼に値すると感じたりするような場合です。実際には英語を扱う仕事以外では、英語が話せるかどうかとこなせる仕事と間には直接関係がありません。身なりと信頼度に関しても因果関係や相関関係は存在しません。また、ハロー効果には上記のように良い方向に働くもの(ポジティブ・ハロー効果)と、悪い方向に働くもの(ネガティブ・ハロー効果)があります。

マーケティングへの応用例

ハロー効果をマーケティングに活用する方法には次のようなものがあります。

著名人や影響力のある人物、専門家などをプロモーションに起用する

化粧品の広告に有名な女優やモデルを起用したり、食料品のCMで有名タレントに「おいしい!」と言わせてみたりするのは、ハロー効果を狙ってのことです。有名女優のようにきれいになれるかも、あのタレントが言っているのだから本当においしいのかも、のようなハロー効果が期待できます。

受賞歴などをアピールする

「20○○年◇◇賞最優秀賞受賞!」など、何らかの受賞歴をアピールすることもハロー効果を生み出します。受賞歴があるということはきっとそれに見合う性能や品質のものであろうと感じるからです。著名な賞のほうがより効果はありますが、それほど世の中に知られていないものでも効果は期待できます。その他「○○協会公認」などの公認された情報も、信頼性を向上させたり、内容によっては品質などが高いイメージを抱かれたりするので、一定の効果があります。

口コミ

著名人や受賞履歴などのある程度公的な意味合いを持つものではなくても、最近は一般消費者の口コミの影響力も増しています。「良い口コミが多い=良い製品」という印象を持つ消費者も多いので、SNSや消費者による評価などを活用した口コミのマーケティングも重要視されています。

まとめ

● 一貫性の原理とは一度態度決定したことは最後まで一貫してそれを貫こうとする心理効果
● コミットメントを得ることで一貫性原理がより強く働く
● 一貫性原理は、無料お試しなどでまず小さなコミットメントを得たり、
 SNSで第三者にもコミットメントを公表してもらったりするなどの方法で
 マーケティングに応用されている
● ハロー効果は、ある特徴がその物事全体の評価に大きく影響する認識バイアスの1つ
● 著名人をCMに起用したり、受賞歴をアピールしたりするなど方法で活用できる


製品によっては、その特徴のみではなかなかその良さが伝わりにくいものもあります。そういった場合には、世の中のさまざまな力を借りてでも、それらを伝える努力が必要になるでしょう。

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