なぜ人は流行を追う?バンドワゴン効果とスノッブ効果

人は社会的動物だとも言われています。いくら自分の意思で行動しているつもりでも、知らない間に世間や周りの人間の影響を受けてしまっていた、ということもあり得ることでしょう。今回は商品購入時などの際に周囲から影響を受けてしまう「バンドワゴン効果」と「スノッブ効果」について解説します。

なぜ人は流行を追う?バンドワゴン効果とスノッブ効果
人は社会的動物だとも言われています。いくら自分の意思で行動しているつもりでも、知らない間に世間や周りの人間の影響を受けてしまっていた、ということもあり得ることでしょう。今回は商品購入時などの際に周囲から影響を受けてしまう「バンドワゴン効果」と「スノッブ効果」について解説します。

人と同じだと安心する「バンドワゴン効果」

バンドワゴン効果とは?

「みんながやってるから安心だ」「たくさんの人が持っているから私も持ちたい」など、周囲の評判や世間の流行によって判断してしまう傾向は「バンドワゴン効果」と呼ばれています。バンドワゴンとは、パレードなどの先頭にいる楽隊車のことで、バンドワゴンに乗る=時流に乗る、多勢に与するなどの解釈から生まれた言葉だと言われています。

バンドワゴン効果は、「自分では自覚がなくても、世間一般の多くの人の意見や行動に影響されてしまう」という「社会的証明」という心理傾向の現れの1つです。街で行列のある店を見つけると「きっとおいしいんだろうな」と思ってしまったり、特に最近の傾向としては、ECサイトで購入者の評価の高い商品を選んでしまったりするのがバンドワゴン効果の例です。また常に流行に遅れないよう、懸命に努力しているのもバンドワゴン効果の一種と言えます。また、SNSでのフォロワー数をアピールしたり、選挙の際に支持率をアピールしたりすることもバンドワゴン効果を狙ったものでしょう。

マーケティングへの応用

誰でも目にしたことのある「全米が泣いた!」「全米興行収入1位」などロードショーのキャッチコピーが、マーケティングへの最も代表的な応用例かもしれません。もちろんこれは、「多くの人が見た、感動したものだから良い映画に違いない」ということの訴求を狙ってのことです。映画だけではなく、「とにかくみんなに支持されている」という点を訴求することで、上記の社会的証明の効果を引き出していくことができます。その他のアプローチ方法には次のようなものがあります。

  • 実績をアピール
    「何万個売れた」「販売数1位」「発売からもう〇〇年も支持されてきた」
  • 多くの人に支持されている
    「30代女性の多くが購入」「主婦に大人気」「新入社員ならみんな使っている」
  • トレンドに乗り遅れない
    「今年の色は〇〇」「来年は〇〇に注目が集まる」「今だから〇〇を使いたい」

上記に加えて、具体的な数字を添えることでより印象が強まります。
(例)
  • ×多数販売! → 〇10万個売れた!
  • ×みんな知ってる → 〇営業職の2人に1人が知っている

人と同じものは持ちたくない「スノッブ効果」

スノッブ効果とは

バンドワゴン効果と反対に、「他人が消費していればいるほど自分は欲しくなくなる」現象をスノッブ効果と呼びます。上記のバンドワゴン効果と併せて、両方ともアメリカの経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタイン氏が提唱したものです。ちなみに、「スノッブ」という語には「紳士気取りの俗物」のようなあまり良くない意味がありますので使用する際には注意が必要です。

「人が消費しているものほど欲しくなくなる」ということは、「人が持っていないものに魅力を感じる」ということですので、端的に言うと「希少性」に価値を感じる心理とも言えるでしょう。バンドワゴン効果やスノッブ効果のように消費行動が他者の影響を受ける現象を「消費の外部性」と呼び、この2つはその代表例として有名です。

マーケティングへの応用

希少性が求められているので、「誰でもいつでも手に入るものではない」というような限定を加えることでスノッブ効果をマーケティングへ応用することができます。対象者を限定するにはさまざまな切り口がありますが、
  • 地域限定 「〇〇にお住いの限定」
  • 期間限定 「毎月10日~15日のみ販売」「〇〇の間にご購入に限り」
  • 数量限定 「限定10個のみの販売」「初回限定」
などの切り口は日常的にもよく見る応用例ではないでしょうか。さらに細かく限定していく方法として、消費者の個別の条件を付加していくことができます。

「〇〇をお持ちの方に限り」
「〇〇の会員様限定」
「一つ一つ手作りのオリジナルデザイン」

などの条件で対象をさらに絞り込んでいくことができます。

スノッブ効果を狙う場合、希少性を訴える必要がありますので、あまりに大量に商品を供給・販売したり、大々的に告知したりすると差別化を感じてもらえなくなってしまう恐れがあります。期間限定の季節商品なら対象期間外は販売しませんので、反対に対象期間中は大々的に販売してもあまり問題ありません。しかし、限定10個の商品をテレビCMまで放映して販売する、となると多くの方が違和感を感じてしまうでしょう。上記は極端な例ですが、違和感を抱かせずに、しかもしっかりと差別化要因を訴求できるような方法(規模、期間、手法)を選択する必要があります。

加えて、商品そのもの特性によって、スノッブ効果が有効に働くものとあまり働かないものがあります。顧客があまり希少性を求めない日用雑貨や家電製品などとはあまり相性が良くありません。反対に、服飾品や装飾品、旅行などとは相性が良くなります。また同じ食品の場合でも、日常的な食品に対しては希少性はむしろ敬遠されますが、嗜好品的な要素が多い高級食材や酒類などは十分にスノッブ効果が働くと思われます。

まとめ

  • バンドワゴン効果は、周囲の評判によって購入を判断してしまう心理効果を言う
  • バンドワゴン効果の応用例としては、たくさん売れた、多くの人に支持されているなどを訴求する例がある
  • スノッブ効果は、人があまり使っていないなどの希少なものが欲しくなる効果のこと
  • 地域や期間を限定したり、対象者の条件を細かく設定したりすることでスノッブ効果を期待できる
バンドワゴン効果とスノッブ効果はほぼ正反対の考え方ですが、「多くの方に支持されている商品が今回数量限定で販売」など、両者をうまく組み合わせて訴求する方法もあります。
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