マーケティングオートメーションでリードナーチャリングを成功させるための基礎知識

マーケティングオートメーションを活用する際に最も効果の期待できるのがリードナーチャリングです。しかししっかりと準備をしてプランニングを行わなければ、マーケティングオートメーションの良さを生かすことはできません。今回は、マーケティングオートメーションを活用してリードナーチャリングで成果を上げるための基本的な知識についてご説明します。

マーケティングオートメーションでリードナーチャリングを成功させるための基礎知識

マーケティングオートメーションを活用する際に最も効果の期待できるのがリードナーチャリングです。しかししっかりと準備をしてプランニングを行わなければ、マーケティングオートメーションの良さを生かすことはできません。今回は、マーケティングオートメーションを活用してリードナーチャリングで成果を上げるための基本的な知識についてご説明します。

リードナーチャリングはなぜ必要か?

リードナーチャリングとは

新たな顧客を創造するには、見込み客(リード)を新たに獲得するリードジェネレーション、獲得したリードを自社の顧客に育てていくリードナーチャリング、そして最終的に購入してもらうセールスの3つのフェーズがあります。
リードジェネレーションは、広告を出したり展示会やセミナーを実施するなどして、これまで接点のなかったターゲットに自社の製品を知ってもらい、新たな顧客となる可能性のあるターゲットの情報を得ることです。リードナーチャリングとは、そこで収集したリードに対してメールやwebサイトなどのさまざまな接点を通じて自社の製品を購入してもらうような情報提供やアクションを行っていくことです。

リードジェネレーションからリードナーチャリング、そしてセールスは独立したフェーズではありますが、それぞれが相互に有機的に連携していなければ、最終的な販売=顧客化にはなかなか結び付きません。そして、リードジェネレーションからセールスへ結び付けていく役割を持つリードナーチャリングは、全フェーズの中でも非常に大切なフェーズと言えます。
特に、購買プロセスが比較的長い高額商品やBtoBの取引においてはリードナーチャリングが重要視されます。

リードナーチャリングの必要性と目的

それでは、リードジェネレーションとセールの間になぜリードナーチャリングが必要なのか、その理由を整理しておきましょう。

購買プロセスが複雑で長い

一般的にBtoBの取引や高額商品などを購入する場合は、購入の意思を固めてから実際に購入するまでの期間が長きに渡ります。
一般消費者向けの比較的手軽な商品の場合は、買うと決めた瞬間に広告などでアピールすれば効率よく購入に結び付けることができます。しかし購買プロセスの長い取引の場合は、アプローチする適切なタイミングや内容は、リードの状態によって大きく変わる場合があります。
例えばBtoB取引の場合、「問題の認識」から始まり「解決の意欲」→「課題の整理」→「ソリューションの検討」→「比較検討」→「条件交渉」→「購入」などのプロセスを踏んで購買に至ります。そこで効果的なアプローチを行うためには、リードがどの購買プロセスにいるのかを把握し、タイミング良く、しかも適切な内容のメッセージを発信しなければ効果は上がりません。
リードナーチャリングでは、そのようなリードの購買プロセスを把握したうえでタイミング良く、リードの求めるであろう情報提供やオファーを出すことによって、リードの購買意欲を上げることができます。

情報収集の方法の変化と多様化

もう1点、近年の情報収集方法の変化も、リードナーチャリングが必要な理由です。
以前は、法人での購買の場合は購買プロセスの初期段階から営業マンを呼び、そこから情報収集しながら、購買の是非や製品、ソリューションの選択の判断基準としてきました。しかし近年は、初期段階から選定の段階までの情報収集は、Webサイトで行うようになってきています。そうなると以前は営業マンが把握していたリードの状況が分からなくなり、営業アプローチをしても状況が分からないため、適切な対応ができなかったり後手に回ったりというケースが多くなります。
従って早い段階でリードの状況をつかむためには、マーケティングオートメーションなどの仕組みを活用し、リードの行動をWebログなどから情報収集しておく必要があります。さらに、Web上での行動だけではなく、展示会やセミナーなどのイベント、営業マンとの接点情報などを一元的に把握することにより、リードの状況に対する理解が深まり、次にどのような手を打てば良いのかなどの判断もしやすくなります。

リードナーチャリングはどのように行っていけば良いか?

それではリードナーチャリングを実際にどのような手順で進めていけば良いのかをご説明します。

リード像を明確にする

リードの状況によって発信すべき情報や内容が異なります。上でもご説明した通りリードの今の購買プロセスによっても大きく異なります。従って、最初に行うのはリードのセグメンテーションです。セグメンテーションはリードの属性情報と購買プロセス(=見込度の高さ)の2つの軸で行います。
リードの属性とは、個人なら年齢や性別、年収など、法人なら業種や会社規模、担当者の所属部署などリードがもともと持っている属性情報です。購買プロセスは、リードの行動情報から判断することになります。
例えば、Webサイトで製品のより詳しい情報を確認しているほど購買プロセスが進んでいるものとして判断しセグメントしていきます。また、Webサイトのログ情報以外のイベントや営業のコンタクト状況が統合されていれば、そちらも参照します。

リードの行動情報を判断する上で気を付けなければならないのは、それがいつの行動なのかという時間的な観点です。たとえ頻繁に詳細情報へのアクセスがあったとしても、それが半年前ならすでに購入していたり、購入自体を取りやめていたりして現在の購買プロセスは以前と変化しているものと判断するのが良いでしょう。
リードのセグメントは、実際にはマーケティングオートメーションなどの仕組みを活用して行います。マーケティングオートメーションのリード管理機能でリード属性を管理し、ログ管理機能を使ってWebログ情報とリード情報の紐づけを行うことができます。また、Webログ以外の行動情報を随時マーケティングオートメーションに吸い上げることによって、あらゆる接点情報が一元化できるため、精度の高いセグメンテーションを、シンプルな操作で行うことができます。

リードの行動情報などが少ない場合は、ある程度想定でセグメントします。後でご説明する通り、結果の検証によりセグメントやコンテンツの精度は向上させていくことができます。

コンテンツ設計

リードのセグメントが完了すれば、次はそのセグメントごとにどのようなコンテンツを提供すれば良いのかを設計します。
例えば、自社の課題が明確になってはいるが、まだ購入する製品の選定段階には入っていないリードに対して、具体的な値引きなどのオファーを行ってもあまり効果がありません。むしろ自社に対するロイヤルティを上げるために課題の解決方法を提示する方が効果的でしょう。反対に製品選定段階のリードに対しては、具体的な自社製品の優位性やキャンペーンのオファーが有効になります。

また同じ製品でも多くの業種で導入可能な製品の場合は、リードが属する業種の利用形態や利用方法にマッチした提案をしなければ、的外れとなってしまいます。
このように、リードの属性や購買プロセスからセグメントしたそれぞれのリードの状況によって、どのようなコンテンツを配信すれば適切なのかを設計します。

コンテンツの配信と効果検証

作成したコンテンツの配信はメールやWebサイト上で行うのが一般的です。中でもメールは最も一般的に利用される方法です。メールは、専用の配信システムなどでも送信することは可能ですが、配信後の効果検証などを考慮するとマーケティングオートメーションなどの仕組みを活用するのが良いでしょう。
マーケティングオートメーションでは、セグメントしたリードに対してメール配信できるだけではなく、レスポンス計測を簡単に行える仕組みを備えています。例えば、フォーム生成機能などを活用してメールのリンクからの受けページを用意しておくと、レスポンスとリード情報との紐づけが自動的に行われ、配信したメールの効果測定が簡単にできます。

リードの状態に完全にマッチしたコンテンツの提供を、1回のみのセグメントで実現するのは現実的には大変難しいことです。そこでこのような効果検証が非常に大切になります。効果検証の結果はマーケティングオートメーション内に蓄えられますので、それを元にして徐々に精度の高いリードナーチャリングが実現していくことになります。従って中長期的にリードナーチャリングを行う企業にとってマーケティングオートメーションは非常に有効なツールとなります。

配信前のセグメンテ―ションやコンテンツ設計も大切ですが、効果検証の結果からセグメンテーション方法やコンテンツ内容のブラッシュアップを繰り返し実施してくことにより、精度の高いリードナーチャリングを実現することができます。
さらに、こうして繰り返し継続的にリードナーチャリングを行っていくことでリードの行動情報も蓄積され、特定の基準に基づいたスコアリングによって、例えば「今受注確率の高いリード」などのいわゆるホットリードも、高い精度で抽出できるようになります。

まとめ

  • BtoB取引などにおいて、見込み客(リード)を顧客化するためにリードナーチャリングは重要な役割を果たす
  • リードナーチャリングは、リード像を明確にし、それに対する適切なコンテンツ設計を行う必要がある
  • リードのセグメントやメール配信、効果検証においてマーケティングオートメーションを用いることで、効率化と精度向上が期待できる

いかがでしたでしょうか。リードナーチャリングと言うと敷居が高そうに思えますが、大抵の企業はあらかじめ最適なリードナーチャリングの方法を持っているわけではなく、試行錯誤を繰り返しながら最適解を見つけていくやり方を取っています。リードナーチャリングは自社の顧客の事を深く知る機会にもつながりますので、まず始めてみることが大切です。

  • マーケティングオートメーションツール選定ガイドブック