自分の好きなものから発想すると自然とアイデアが生まれる、「焦点発想法」

世の中にはさまざまなアイデア発想法があり、その発想法自体が興味深いものもあります。今回ご紹介するのは「自分の好きなもの」に着目してアイデアを発想するという少しユニークな方法。「焦点発想法」と呼ばれるその発想法はどのような方法でどんなメリットがあるのか、詳しく解説します。

自分の好きなものから発想すると自然とアイデアが生まれる、「焦点発想法」

世の中にはさまざまなアイデア発想法があり、その発想法自体が興味深いものもあります。今回ご紹介するのは「自分の好きなもの」に着目してアイデアを発想するという少しユニークな方法。「焦点発想法」と呼ばれるその発想法はどのような方法でどんなメリットがあるのか、詳しく解説します。

焦点発想法とは

人は誰でも自身が嫌いなもの、好まないもののことはあまり考えたくないものです。反対に好きなものなら長時間、色々な視点で思い出すのも楽しいでしょう。そのような「好きなことならいくらでも考えられる」という利点を生かして多くのアイデアを発想するのが「焦点発想法」です。

この方法はアメリカのC.ホワイティングという技術者が提唱したと言われており、同国では新たな広告制作やユニークな商品開発のためのアイデア出しに広く活用されています。焦点発想法のメリットは、まず上記にも記したとおり、好きなものに焦点を当てて発想するので、アイデアが活発に出やすいこと。その他にも実施者の空想力やイメージ力を伸ばす効果もあります。

焦点発想法の具体的な手順

それでは焦点発想法を進める際の具体的な手順を説明していきましょう。「新しい筆記具」の商品開発アイデアを、焦点発想法を使って集めるという想定にして説明します。

自分の好きな物事の1つに焦点を当てる

趣味やスポーツ、家族やペットなど、どのような種類のものでも良いので何か1つを選びます。これを対象にアイデアを広げていきますので、そのことを考えると楽しくなるものやわくわくするようなものがベストです。ここでは好きなものとして「お風呂」を選んでみます。

対象から思いつくキーワードを書き出す

前項で決めた対象の特徴や関連することがらなど、思いつくキーワードを書き出します。似たようなイメージのキーワードがあるとアイデアが広がらなくなりますので、できるだけ違った印象や内容のキーワードをたくさん出すのがポイントです。前項で選んだお風呂から連想されるキーワードとしては、「お湯」や「シャワー」「湯船」「入浴剤」などが考えられます。

キーワードから思いつくイメージなどを中間的なアイデアとして書き出す

上記で挙げたキーワードから思いつくイメージを出していきます。

●お湯→「温まる」「沸す必要がある」
●シャワー→「ひねるといつもお湯が出る」「水圧が高いほうが良い」
●湯船→「掃除する必要がある」「半身浴」
●入浴剤→「気持ち良くてついつい長風呂」「癒される」

などが考えられます。

中間的なアイデアを応用して、本来の課題を解決するためのアイデアを考える

上記で引き出した中間的なアイデアを利用して、本来の課題を解決するためのアイデアを発想します。ここでは「新しい筆記具の開発」がテーマですので中間アイデアから新しい筆記具のアイデアにつながるものがないか考えます。次のような例が考えられます。

●お湯→温まる→「寒い時に手がかじかまらないように持つと温かくなる筆記具」
●シャワー→ひねるといつもお湯が出る→「インクや芯が自動的に補充される筆記具」
●湯船→掃除する必要がある→「丸洗いできて清潔な筆記具」
●入浴剤→癒される→「フレーバー付きの癒される筆記具」

いかがでしたでしょうか。少々遠回りに感じられるかもしれませんが、その分アイデアに広がりが出やすいのが焦点発想法の特徴と言えるでしょう。

焦点発想法のマーケティングへの応用

さらにもう1つの例として、マーケティングでの応用例を考えてみましょう。解決したいテーマは、ある製品の「新しい販売チャネルを考える」こととしてみます。任意の好きな物事を「音楽」として、そこから上記同様にキーワードやイメージを膨らましてみましょう。

キーワード

音楽から導き出されるキーワードには、「ライブやコンサート」「クラシック音楽」「オーディオ装置」「サブスクリプションサービス」などがあります。

キーワードからのイメージとそこからの新たな販売チャネルのアイデア

上記のキーワードからのイメージと、さらにそこから「新しい販売チャネル」のためのアイデアを発想すると次のような例が考えられます。

●ライブやコンサート→広い会場が必要→「イベントなどで販売する」

●クラシック音楽→伝統的→「老舗などで取り扱ってもらう」

●オーディオ装置→視聴してから購入する→「お試しや試食、無料期間などが可能なチャネルで展開する」

●サブスクリプションサービス→一定額の負担でさまざまなものを視聴できる→「頒布販売を開始する」

まとめ

●「焦点発想法」は、自分の好きなものに焦点を当て、そこからアイデアを発想する方法

●好きなものから発想するので、活発にアイデアが出やすいメリットがある

●具体的手順は、解決したい課題と任意の「好きな物事」を決めた上で、そこからキーワードや中間アイデアを出していき、最終的に課題解決に即したアイデアを発想する

何度か焦点発想法でアイデア出しを繰り返すと、自然とキーワードや中間アイデアが溜まっていくでしょう。それらは他の課題やテーマへも応用が効く可能性があります。必要な時に過去の中間アイデア等を見返してみるのも良い方法かもしれません。

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