無限にアイデアを広げる「マンダラート」

その美しい色彩や巧妙な図柄などから、「曼荼羅」に魅了される方は多いのではないでしょうか。しかしその内容を理解している方は少ないのかもしれません。そのような曼荼羅をヒントにしたアイデア創出ツール「マンダラート」をご紹介します。マンダラートは、出自は変わっていても非常に実用的なツール。今回は、そのメリットや使い方について解説します。

無限にアイデアを広げる「マンダラート」

その美しい色彩や巧妙な図柄などから、「曼荼羅」に魅了される方は多いのではないでしょうか。しかしその内容を理解している方は少ないのかもしれません。そのような曼荼羅をヒントにしたアイデア創出ツール「マンダラート」をご紹介します。マンダラートは、出自は変わっていても非常に実用的なツール。今回は、そのメリットや使い方について解説します。

マンダラートとは

「マンダラート」とは、仏教での世界観を表現した「曼荼羅(マンダラ)」と「アート」を組み合わせた造語で、「マンダラチャート」呼ばれる場合もあります。元になった仏教の曼荼羅にはさまざまなものがありますが、代表的なものは中心に最も重要な仏を置き、その上下左右にそれに関連するその他の仏やモチーフなどを配置。それを何重にも多層化することで、言葉だけでは表現が難しい仏教の世界観を直感的に表現しようとするものです。

マンダラートはそのような曼荼羅と同様に、3×3のマス目の中心に重要なテーマや達成目標などを置き、その周りのマスに、関連する事柄やアイデアを記載します。そしてさらにそれらを中心として、同じように周りに関連項目を記載することで、多層的に発想を拡大していく手法です。特定のテーマに関するアイデアを広げたり、目標達成のための具体的な道筋を考えるためのツールとして活用されています。

1つのテーマや目標に対して、上下左右(4個)と斜め(4個)の合計8個のアイデアなどを記載し、そのそれぞれに同じように8個のアイデアなどが付加されるので、マンダラートを使うと1つのテーマや目標から、合計72個のアイデアや関連項目が見出すことができます。大谷翔平選手が「8球団からドラフト1位で指名されること」を目標に、その達成に向けたアクションプランづくりで活用されたことでも話題になった手法です。

マンダラートの具体例

アイデア発想法として利用する場合の具体的な活用例を考えてみましょう。例えば、ペット向けのトリミングサロン経営者が、集客やブランディングのために「トリミング関連のブログのアイデアを考える」という目的で活用するとしましょう。

まずマス目の中心には「トリミングについて知ってもらう」と記入します。次にその周りの8マスを、それぞれ関連する項目で埋めていきます。例えば次のようなものがが考えられるでしょう。トリミングとは?

●時間はどれぐらいかかる?

●値段はどれぐらい?

●適正な間隔は?

●自分でできるのか?

●資格がいる?

●トリミングに種類はある?

●しなければどうなる?

これらの内容を周りの8マスに記入し、今度は上記の8項目それぞれを中心にしたマンダラートを作成し、具体的な内容などを記載していけばブログのアイデアを具体化していくことができます。

マンダラート活用のメリット

マンダラートを活用することのメリットには、次のようなものがあります。

強制的にアイデアを絞り出すことができる

マンダラートの利点の1つは、決まったマス目に強制的にアイデアなどを記入していくため、無理矢理にでもアイデアを絞り出すことができる点です。上下左右と斜めで8マスあり、そのそれぞれにさらに8マスずつアイデアを埋めていくわけですので、少々強引なやり方かもしれませんが、とにかく上下左右斜めの8マス分とそれらを中心にした各8マス分(8+(8×8))、合計72個のアイデアが集まることになります。

階層的にアイデアや目標までの道筋を考えることができる

最初の8個のアイデアなどを元にさらにアイデアなどを付加していことで、階層的にアイデアや解決の道筋を考えることができます。簡単に解決できる問題ではなく、複雑で達成が難しい問題などをテーマにするとより効果的です。

課題解決のための具体的な道筋が分かる

1つのテーマや課題から、解決のためのアイデアを1つずつ出しながら、さらにそれを満たすためのアイデアを書き出していくので、解決のための具体的な道筋を1つ1つ段階的に理解しながら進めることができます。

アイデアや考えを整理できる

ブレーンストーミングなどで直線的にどんどんアイデアを出していくと、時としてアイデアの整理がつかなくなる場合があります。マンダラートは、アイデア同士の関係が把握しやすく、考えを整理しながら発想を広げていくことができます。

マーケティングへの応用

課題解決型でのマーケティングへの応用例を考えてみましょう。

マーケティングでの課題はさまざまなものが考えられますが、仮に見込み客(リード)の数が増えないか減少傾向にあるために、「リード数を2倍にする」することを、課題として設定してみます。そしてこれを最初のマンダラートの中心に置き、そして、この課題を解決するためのアイデアや施策を、周りの8個のマスに入れていきます。例えば次のようなものが挙げられます。

●展示会出展数を増やす/質を向上させる

●セミナー開催数を増やす/質を向上させる

●MAツールなどを導入してより効果的な施策を実施する

●リード減少の原因を分析する

●新たな市場を開拓/開発する

●リード創出のための新製品を開発する

●競合の情報を収集/分析する

●広告出稿先を変える/増やす

他にももっと良いアイデアがあるかもしれませんが、これらを最初のマンダラートとして、さらに各アイデアの要素を出していけば、「リードを2倍にする」という課題の解決に向けた具体的な道筋が、かなり見えやすくなってくるのではないでしょうか。

まとめ

●マンダラートとは、3×3マス目の中心に対象のテーマを置き、周りに関連する内容などを配置していくことでアイデアなどを多層的に発想していく手法

●特定のテーマに関するアイデアを広げたり、目標達成のための具体的な道筋を考えたりするためのツールとして活用されている

●強制的にアイデアを絞り出したり、階層的にアイデアや目標までの道筋を考えることができたりするメリットがある

大谷翔平選手が活用していることで一躍世に知られることになったマンダラート。ビジネスはもちろん、プライベートでも有効なツールですので、公私や大小問わずさまざまな目標達成のために活用してみてはいかがでしょうか。

  • マーケティングオートメーションツール選定ガイドブック