「6W2H」から始めれば、自然とアイデアを整理できる
物事を的確に使えるためには5W1Hが大事だと言われてきました。今新たな発想法として、5W1Hに1W1Hを加えた6W2Hが注目されています。どのような発想法なのか、どう使いこなせば効果的なのか解説します。
この記事の目次
物事を的確に使えるためには5W1Hが大事だと言われてきました。今新たな発想法として、5W1Hに1W1Hを加えた6W2Hが注目されています。どのような発想法なのか、どう使いこなせば効果的なのか解説します。
6W2Hの概要
6W2Hとは
6W2Hとは、6つのW(Who:誰が、Whom:誰に、What:何を、Why:なぜ、When:いつ、Where:どこで)と、2つのH(How:どのように、How much:いくらで)の頭文字から採られています。報告などの基本フレームだと従来から言われている5W1Hに、「Whom:だれに」と「How much:いくらで」の項目を追加し、よりさまざまなビジネスシーンにフィットするようになっています。
5W1Hとは違い、6W2Hは報告の際など向けのフレームワークではなく、さまざまなアイデアを創出したり整理したりする際に活用されます。6W2Hではまずテーマを決め、それに関する6W2Hの項目ごとの内容をそれぞれ半ば強制的に案出していくことで、アイデアを広げたり、考えるべきことの抜けや漏れを防いだりすることができます。
具体的な使い方例、活用方法
6W2Hで用いるツールには決まったものはありません。一般的に1枚の紙や画面の中央にテーマや課題を表記し、その周り(上下左右、斜め)に6W2Hの8項目を配置。表記したテーマに対して誰が? 誰に? 何を? というように考えをまとめたり、広げたりしていきます。紙1枚あれば作業が可能で、PCなどでも既存のアプリを使えばほとんど対応できる手軽さが特徴でもあります。
具体例を挙げてみましょう。仮に「営業の売上成績(が伸びない)」をテーマにしてみると、6W2Hでは以下のような発想が可能になります。
●Who:誰が
「特に配属4、5年の中堅層に多く見られる」
●Whom:誰に
「大手企業へのアプローチに苦慮している」
●What:何を
「特に商材の偏りはなく、商材全般」
●When:いつ
「提案までは進むがそれ以降の見積もりやクロージングへ進めない」
●Where:どこで
「首都圏や関西地区の営業が特に顕著」
●Why:なぜ
「提案後のフォロー不足、決裁権者との関係構築、トップ営業不足」
●How:どのように
「対面販売が中心」
●How much:いくらで
「価格競争力はある。しかし特に高額製品の伸び悩みが著しい」
上記はあくまで仮の内容ですが、このような6W2Hの切り口で事実を捉え直したり、発想したりすることで、広い視野で客観的に物事を捉えることでき、問題解決の糸口を見つけやすくなります。
6W2H活用のメリットとポイント
6W2H使用のメリット
6W2Hを使うことのメリットには次のようなものがあります。
物事を多角的に捉えることができる
上記の例のように、1つテーマに対して6W2Hの視点で強制的に発想するので、習慣的な思考パターンとは少し離れて、さまざまな状況や立場で客観的かつ多角的に物事を考えることができます。
抜けや漏れが発生しにくい
6W2Hのみで物事のすべてを語ることはできませんが、これを網羅することで、課題の解決などに必要な要素に抜けや漏れが発生しにくくなります。
6W2H活用のポイント
6W2Hを効果的に活用するには次のようなポイントがあります。
6W2Hの利用目的を明確にする
6W2Hはあくまで何らかの課題解決のための発想法の1つです。どのような目的で用いるのかを明確にしておくことで、よりスムーズに課題を解決することが可能になります。特に複数人で取り組む場合は、メンバー間で必ず共通認識を持っておきましょう。
各項目に記載する内容を明確にする
「Who:誰が」「Whom:誰に」など、各項目に記載すべき内容は一見明らかなように見えます。しかし、例えば「When:いつ」の項目は、上記の例では「営業プロセス」と解釈していますが、これを春や夏などの季節や、初期アプローチからの期間などと解釈することもできます。どのような内容が課題解決に適しているかを吟味した上で、適切な内容を記載します。
マーケティングへの応用
続いて、6W2Hをマーケティングに応用する例を考えてみましょう。各項目をマーケティング視点でどのような内容が該当するのかを考えていきます。(マーケティング視点で考えやすいように、上記の例とは項目順を変えています)
●Who:誰が
売り手としては自社が該当しますが、営業が売るのか代理店が売るのかなど、実際の顧客との接点はさまざまなものがあります。
●Whom:誰に
製品、サービスを売る相手、売りたい相手、すなわちターゲットに相当します。ペルソナなどのターゲット像でもよいですし、ターゲットとする市場などでもよいでしょう。
●What:何を
対象の製品やサービスが該当します。製品そのものではなく、それが提供する価値として捉えることもできます。
●When:いつ
まず、製品等の提供タイミング、または顧客が購入を検討するタイミングとして考えることができます。さらに、プロモーションやキャンペーンの実施時期、新製品の発売時期、広告などの掲載時期などさまざまな解釈が可能です。
●Where:どこで
どのような販売チャネルや流通経路を使って売るのかがこの項目に該当します。また、販売するエリアを考慮しなければならないケースもあるでしょう。
●Why:なぜ
企業側から見ると対象製品の販売目標など、顧客視点だと購入目的やニーズとして考えることができます。
●How:どのように
広告宣伝や販売促進をどのようは方法で行うか、という観点で考えることができます。Webを中心としたものにするのか、TVCMを打つのか。展示会やセミナーなどを中心に展開していくのか、さまざまなパターンが考えられます。
●How much:いくらで
製品等の価格戦略や、原価、採算性などをここで考慮します。
まとめ
●6W2Hとは、6つのW(Who:誰が、Whom:誰に、What:何を、Why:なぜ、When:いつ、Where:どこで)と、2つのH(How:どのように、How much:いくらで)の切り口で物事を発想する方法
●1つのテーマに対して6W2Hの視点で発想することで、物事を多角的に捉えることができ、抜けや漏れが発生しにくい
●各項目を、「誰が=販売ターゲット」「どこで=販売チャネル」などマーケティング的要素に置き換えることで、マーケティング施策を考える際の発想補助ツールとして活用できる。
6W2Hは単なる発想法であるだけでなく、マーケティング活動を支援するツールとしても優れものです。1人でも複数人でも使え、準備も簡単なのでぜひ一度試してみてください。