狙いを定めてアプローチ!精度の高いターゲティングがマーケティング効率を向上させる

マーケティングや営業のリソースに余裕があればよいのですが、一般的にはそのような恵まれた状況はまれかもしれません。限られたリソースの中で、販売等の効率を上げていく手法にはさまざまなものがありますが、そのうちの1つがターゲティングです。今回はそのようなターゲティングの概要や実際の手順について解説します。

狙いを定めてアプローチ!精度の高いターゲティングがマーケティング効率を向上させる
マーケティングや営業のリソースに余裕があればよいのですが、一般的にはそのような恵まれた状況はまれかもしれません。限られたリソースの中で、販売等の効率を上げていく手法にはさまざまなものがありますが、そのうちの1つがターゲティングです。今回はそのようなターゲティングの概要や実際の手順について解説します。

ターゲティングがなぜ必要か

ターゲティングとは、見込み客を任意の特性や特徴などを基準にして細分化し、その見込み客層に対してマーケティングや営業アプローチを行うことです。簡単に言うと「見込み客を絞り込むこと」だとも言えます。それではなぜターゲティングが必要なのでしょうか。

営業経験等のある方なら感じておられると思いますが、どれだけ良い製品であっても買い手側がその必要性を感じていない限り売ることは困難です。もちろん本人が自覚していないだけの潜在的な需要というのも存在しますが、それも含めて販売可能な相手先(=有望な見込み客)の範囲や層はある程度決まっているものです。

もしそうだとすると、ただやみくもにマーケティングや営業活動を行っても、非常に効率が悪いことはお分かりいただけると思います。ターゲティングは、あらかじめ自社の製品の需要がある対象に絞ってアクションすることで、マーケティングや営業活動の効率を上げるための手法です。ターゲティングによって、限られた予算やリソースの中で効率良くアプローチして成果を上げることが可能になります。

ターゲティングの手順

ターゲティングを実際に行う際にスタンダードなフレームワークとして用いられるのが「STP戦略」というものです。STP戦略の各アルファベットは「S:セグメント」「T:ターゲティング」「P:ポジショニング」を表しており、このフレームワークに沿って、セグメント→ターゲティング→ポジショニングの順に進めていくことで、しっかりと合理的なターゲティングを行うことができます。

セグメント

セグメントとは見込み客を任意の基準によって分割することです。一般的な消費者向け(BtoC)商材の場合は、見込み客層を人口統計学的な基準である「デモグラフィック(属性)」や、心理学属性の「サイコグラフィック(属性)」などの軸でセグメントします。セグメント軸の例としては次のようなものがあります。

  • デモグラフィック
    年齢・年代、性別、年収、職業、居住地、勤務地など
    (※居住地などの地理的な特性はジオグラフィック属性と呼ばれることもあります。)
  • サイコグラフィック
    ライフスタイル、行動、信念、価値観、購買動機、趣味など

企業向け(BtoB)のサービスや製品の場合は少し違った角度からのセグメントが必要です。BtoBの場合は「対象の企業を基準とした軸(企業軸)」と「直接的なアプローチ対象となる企業担当者の軸(担当者軸)」の2つの軸でセグメントするのが一般的です。企業軸では、企業規模や収益性を表す資本金、売上額、利益額・率など、また企業の特性を表す業種や業態などが使用されます。担当者軸では担当者の所属部署や職責、決裁権の有無などが基準として用いられます。

もちろん具体的にどのような軸を使用してどの程度の粒度でセグメントするのが適切なのかは、対象のサービスや製品によって異なります。

ターゲティング

分割したセグメント群から、自社製品の主な販売ターゲットやマーケティングプロモーションの対象を決めていくのが実際のターゲティング作業になります。その際「6R」というフレームワークが参考なります。6Rとはそのセグメントが有効な市場規模を持つかどうか(Realistic Scale)、競合状況が厳しいかどうか(Rival)、市場の成長性はどの程度か(Rate of Growth)、他のセグメントなどに対する波及効果はあるか(Ripple Effect)、そのセグメントに有効に到達する手段はあるのか(Reach)、マーケティング効果などを測定できるのか(Response)の6つの観点でセグメントを評価する方法です。その他にも自社製品の強みを生かすことができるかや、参入障壁は低いのか高いのかなどの観点も必要です。

ターゲティングの対象は細かくすると精度が上がりますが、その分市場規模が小さくなります。従って、精度と市場規模のバランスを考慮しながらターゲットを定める必要があります。非常に特殊な製品の場合は対象セグメントの規模は小さくなりますので、絞り込んだ対象に対していかに効率的にアプローチするかが課題となります。

ポジショニング

適切なターゲットが決まったら、次は「どう攻めるのか?」を考えるために、ターゲティング対象セグメントにおける製品等のポジショニングを明確にします。ポジショニングとは対象セグメントに属する見込みに対して自社製品の立ち位置を明確にして「当社の製品はこういう特長や強味がある」という説明をできるようにすることです。適切なポジショニングの軸は対象製品やセグメントによって異なりますが、「販売元の企業側から見た製品の特長」などではなく、「見込み客から見た製品の価値」を基準にする必要があります。ポジショニング時に使用される軸は、「親近感:高級感」「機能性:操作性」「地味:派手」などの対になる概念を用いるのが一般的です。ポジショニングが完了すれば、それに基づいたマーケティングや営業の施策を企画していきます。

まとめ

  • ターゲティングとは有望な見込み客層に絞り込んでアプローチする手法のこと
  • ターゲティングの前に、セグメントによって任意の基準で見込み客層を分割する
  • 対象セグメントの市場規模や競合状況、到達手段の有無などでターゲティングの対象を判断する
  • ターゲティング対象セグメントにおける製品のポジショニングを明確にしてから具体的なアプローチ方法を考えることが有効 どのセグメントにどのようや施策が効果的なのかは仮説・検証を繰り返しながら確認し、施策の精度を高めていくことが必要になります。
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