カスタマージャーニーマップを利用して「顧客体験」の質を高めるコンテンツを作成する方法

コンテンツを作成するうえでは「カスタマージャーニーマップ」が非常に役立ちます。当記事ではこのカスタマージャーニーマップとは一体何か、作り方、コンテンツ作成への活用の仕方についてご紹介します。

カスタマージャーニーマップを利用して「顧客体験」の質を高めるコンテンツを作成する方法

コンテンツマーケティング全盛の今日。コンテンツの重要性は誰もが認識していることでしょう。しかし、コンテンツを作るのは何のためでしょうか。顧客体験をより良いものにして最終的には購買に結びつけるためといえるでしょう。戦略なくただ単にコンテンツを作る、コンテンツを計画なく行き当たりばったりで作っていては「木を見て森を見ず」のような状態になってしまいます。コンテンツは戦略的に、ビジネス全体を俯瞰して作成されるべきです。

そこで、コンテンツを作成するうえでは「カスタマージャーニーマップ」が非常に役立ちます。当記事ではこのカスタマージャーニーマップとは一体何か、作り方、コンテンツ作成への活用の仕方についてご紹介します。

カスタマージャニーマップとは何か

カスタマージャニーマップ例
画像引用:http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2013/11/14/16305

カスタマージャニーマップとは、顧客の商品・サービスの購買に際して、顧客が取ると予測される行動・思考プロセスを可視化した図のことです。可視化することで、そのプロセスにおいて顧客が体験すること≒「顧客体験」の質を改善していくことを可能にします。カスタマージャニーマップを活用することで顧客体験の質を良くし、顧客満足度を上げることで最終的に商品・サービスの購買につなげます。

カスタマージャーニーマップ制作の流れ

それでは、実際にどのようにしてカスタマージャーニーマップを制作すれば良いのでしょうか。短期間アパートの部屋を借りることができるアパート賃貸サイトAirbnbを利用する顧客のカスタマージャーニーマップを例にコンテンツ作成の流れを見てみましょう。

ペルソナの設定

まずは自社商品・サービスを提供する顧客の一般像となる「ペルソナ」を設定しましょう。このペルソナを具体的に書き出しておくことで顧客の行動をより具体的に想像することができるようになります。

例)友人2人と海外旅行に行く日本人。今回の旅行で初めてAirBnBを利用する。

顧客の購買行動のフェーズ

設定したペルソナが購買する際に経る購買行動のフェーズを設定しましょう。このフェーズは商品・サービスの内容によって様々になります。

例)宿泊候補を探す→宿泊先を決める→宿泊地に行く→宿泊先を評価

顧客の具体的な行動

フェーズを設定したあとは、そのフェーズごとに顧客が具体的にどのような行動をとるのか洗い出します。

例)「宿泊候補を探す」フェーズにおける顧客の具体的な行動としてはWebサイトで宿泊先を探す。Web上でホテルの口コミを見てみる。顧客の友達に良い宿泊先を聞く。などがあげられるでしょう。

顧客の思考

そのフェーズごとに顧客が思考していることを洗い出します。疑問、不安、感想など。

例)宿泊候補を探すフェーズにおいて顧客の思考として、宿泊先の土地はどんな環境なのか、どんな観光ができるのか、治安は良いか、値段はいくらか、どのような設備が整っているかなどがあげられるでしょう。

コンテンツ作成

カスタマージャーニーマップを作成したあと、顧客の具体的な行動、顧客の思考で洗いだした顧客が持つ疑問、不安、感想に留意してコンテンツを作成します。

カスタマージャーニーマップを用いたコンテンツ作成で意識すべきポイント

各フェーズの顧客のニーズに応じるコンテンツ

コンテンツ作成時には「各フェーズの顧客のニーズに応じるコンテンツ」を意識しましょう。

Airbnbの例であれば、宿泊候補を探す→宿泊先を決める→宿泊地に行く→宿泊先を評価というフェーズを経ますが、宿泊候補を探すフェーズと宿泊地に行くフェーズの顧客に与えるべきコンテンツは大きく異なります。それぞれのフェーズの顧客のニーズに応じたコンテンツを作成することを意識しましょう。そのためにカスタマージャーニーマップの存在が活きてきます。

顧客の疑問、不安を解消するコンテンツ

また、「顧客の疑問、不安を解消するコンテンツ」を意識しましょう。顧客は疑問、不安を持っている間は次の購買行動に移ることをためらう傾向にあります。しかし、顧客のその疑問、不安を解消することで次のフェーズに移行させやすくなります。

AIRBNBのコンテンツ作成事例

例えば、AirBnBの場合、サービス利用の最初の宿泊候補を探すフェーズで顧客は宿泊先の土地はどんな環境なのか、どんな観光ができるのかといったことに疑問、不安を持ちます。Airbnbはその疑問、不安を解消するためにコンテンツ「注目の近所ガイド」を作成しています。

Airbnb事例1
「注目の近所ガイド」には以下の様な案内があります。

注目の近所ガイドでは最初にその土地の大まかな特徴を紹介しています。たとえば東京の場合であれば以下のような紹介をしています。

都市の特徴

例)東京はアニメ、ファション、礼儀正しさで有名、ネオンの看板

地元住民はここが好き

例)ラーメン、コンビニ、ファッションのサブカルチャー

地元住民はここがイヤ

例)エスカレーターで左側に立たない人たち、公共の場で携帯電話で話す人たち

これらのように顧客が旅先への疑問、不安を持っていることを想定し、その不安を解消するためのコンテンツを充実させ顧客体験の質を高めてきました。

Airbnb事例2
秋葉原、新宿、渋谷など東京22区のガイドが掲載されています。秋葉原であれば、サブカルチャーの拠点であり、メイドカフェ、アニメの遊び場が存在すると紹介しています。こちらのガイドから直接その土地の宿泊先を探すことも可能です。

Airbnb事例3
それぞれの地区のガイドでは写真を多く使って見どころを丹念に紹介しています。紙の観光ガイドに匹敵するといっても過言ではないくらいに豊富なコンテンツが用意されています。

Airbnbのサービスは旅人が宿泊する部屋を提供するところにあります。しかし、Airbnbはそのサービス内だけで顧客に提供する顧客体験を限定していません。顧客が体験する旅をよりよいものにするためにAirbnbがどのように関われば良いのかという視点でコンテンツを作成しているのです。

Airbnbはそのように顧客体験の質をさらに高めるためにどうすれば良いかをカスタマージャーニーマップを利用して考えてきたそうです。

顧客体験の質を高める一環としてコンテンツを充実させてきました。旅人にとってはその旅行先の土地に何があるのか、どんなマナーがあるのか、どんな振る舞いをすればよいのか、気になることでしょう。そこで世界各国で「注目の近所ガイド」を作成し顧客である旅人のニーズに応えてきました。

そのようにして顧客の疑問、不安を解消することができるコンテンツを作成できれば、顧客体験の質を高めるコンテンツになるでしょう。そしてそのコンテンツが購買につながることになります。

まとめ

コンテンツマーケティングがこれだけ支持を得ている中でも、ビジネス全体を俯瞰してコンテンツを作成する視点がごっそり抜け落ちてしまっているように思います。

そこで今回ご紹介したカスタマージャーニーマップを利用することで全体として適切にコンテンツを配分できているのかを考慮したうえでのコンテンツの作成が可能になります。そのプロセスを経たコンテンツは顧客体験を高めることができ競合に比べて一歩抜きん出ることができるでしょう。