シンプルに始めよう!スコアリングで成約率を上げるために必要なこと

マーケティングオートメーションは、マーケティング活動の効率を向上させるためのさまざまな機能を持っていますが、その中でもスコアリングは主要な機能の1つです。今回はそのスコアリングの機能について基本的な考え方から、具体的な活用方法まで詳しく解説します。

シンプルに始めよう!スコアリングで成約率を上げるために必要なこと

マーケティングオートメーションを使って、より「精度の高いマーケティング活動」を行いたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。

スコアリングとは何か

「スコアリング」とは、「マーケティングオートメーション」などにおいて見込顧客(リード)をある基準に基づいて点数を付け、個々のリードがどのような状態なのかを客観的に評価する手法です。

一般的に、「ある一定の見込度合いに達しているリード」「ある製品に対する興味度が今、高いリード」「特定のキャンペーンなどに効果のありそうなリード」など、特定のマーケティング活動や営業活動の対象となり得る対象を探し当てるために活用されます。

ある一つのリードだけを見て、そのリードの見込みの高低や特定製品に対する興味度を判断するのは比較的容易ですが、多数のリードが存在する場合(通常はそのような状態が多いと思います)は、各々の状態を個別に判断していくのは現実的には難しくしかも非効率です。

そこで注目されるのがこのスコアリングの手法です。

上記のように自分たちが求める状態のリストが容易に手に入れば、マーケティング活動や営業活動の効率を向上させることが可能になります。また、人が判断していた見込度合いの評価を客観的な基準で行うことで、より正確な評価となることが期待できます。

スコアリングの仕組み

それではスコアリングについて、それが実際にどのようなやり方で行われるかを見ていきましょう。

スコアリングは仮説設定から始まる

スコアリングは「同じような属性を持っていたり行動パターンとるリードは、同じ商品に興味があったり、興味の度合いも同じぐらいではないか」という仮説に基づいて行われます。

リードの属性とは、個人であれば性別や年齢、年収や居住地などのこと、法人であれば業種や資本金、また担当者の職種や役職などのことです。行動パターンとは、自社が知り得る限りのリードの行動のことで、次のようなものです。

自社が知り得る限りのリードの行動とは、1つには、マーケティングオートメーションのWebログ機能で得られた「いつ」「どのページを」「どのぐらいの時間」閲覧したかや、Web上での資料請求や問い合わせ、商品注文などのなどのWebサイトの訪問状況などがあります。

さらにもう1つ、Web以外のセミナーや展示会での参加情報、営業や店舗での直接の接客情報などのコンタクト情報も、可能であればマーケティングオートメーションに取り込んで利用します。

例を用いてご説明すると、
「20~30代の女性で、ウエディングドレスの詳細ページを直近1カ月内に訪問している個人のリードは、結婚式を検討中で、新婚旅行用に旅行を検討中ではないか」
「展示会に来場されたターゲットの業種の方が、展示会後に展示した製品のWebサイトを何度も閲覧しているのは、その製品に対して高い興味を示しているのではないか」
などの仮説を立てます。

また逆に過去の展示会に来場された方で実際に注文に至ったリードのパターンを抽出し、それを仮説とするような、「成功モデル」からアプローチする方法も多く用いられます。

どのようにスコア化するのか

設定した仮説に対して、実際に次のような方法でスコア化を行います。

上の「展示会来場者」の場合を例に取ると、まず属性情報を対象に、製品の販売ターゲットとなる主な業種が「流通小売業」である場合は、「小売業」の場合に20点、「小売以外の流通業」の場合に5点、大規模企業の方が需用が高い想定して「資本金10億以上」で20点、「1億以上」で10点、役職による決裁権限を考慮して来場者の役職が「役員」なら20点、「部長クラス」なら10点、「課長クラス」なら5点などの配点を設定します。

行動パターンについての配点は、その展示会に来場していれば30点、その他の直近6カ月以内の展示会の来場なら10点、製品説明ページを直近1週間以内に5分以上閲覧していれば20点、価格まで確認していれば具体性が高いと想定して製品価格ページなら30点などの配点を設定します。

上記に基づいてスコアリングを行い一定の基準、例えば80点以上や100点以上などで抽出すれば、展示会出品製品に対する興味度の高いリードをリストアップすることができます。

ただしこのスコアリングは、あくまで仮説に基づくものです。次のセクションでもご説明しますが、実際に運用し成果を上げていくためには仮説の検証を行った上で、スコアリングの基準を調整、精査していく必要があります。

仮説検証によりさらに成果を上げる

単にスコアリングだけ行っても、なかなか大きな成果に結び付けるのは難しいものです。そこで重要になるのがスコアリング結果の検証です。これを行うことでスコアリング自体の精度が格段に向上します。反対に、この検証作業がなければ大きな成果は望めないとも言えます。仮説の設定やスコアリングの作業は、この検証作業とペアになっていると考えた方が良いでしょう。
具体的には次のような方法で行います。

リストアップして確かめる

設定した仮説やそれと関連する属性や行動パターンに対する配点は、厳密にいうと「想定」です。また想定自体が正しくても現実とは乖離しているかもしれません。

そこでスコアリングした結果が、現実に即したものかどうかまずは1度実際に目で確かめてみる必要があります。例えば点数順に並べて出力し、想定したイメージのリードが並んでいるかサンプル的にチェックしてみます。明らかに見込の低いリードが上位に来ていないか、順位付けが逆になっていないかなどの点がないかチェックし、もし発生していれば配点などの調整を行います。このチェック&調整を何度か行うことで、より現実的なスコアリングに近づけることができます。

成功パターンを分析する

仮説から入るのではなく、反対に結果からリードが行っている行動パターンや多く含まれる属性などを分析することも有効です。前の例の展示会来場者に関して言うと、過去の展示会来場者でその後成約に結び付いているリードを抽出し、そのリードの属性や、来場から制約に至る間に取った行動パターンを分析します。類似する属性や行動パターンが見つかった場合は、その要素がスコアリングとして有効な可能性がありますので、そのパターンを参考にするか、その要素を付け加えることを検討します。

ただし分析対象にした展示会や対象製品、また時期/季節要因などによって有効性が変わる場合がありますので、明らかな類似パターンが見つかった場合でも100%有効ではないことは考慮しておかなければなりません。

少し高度な方法ですが、こうした過去の実績や事実を積み上げていくことで、スコアリングの精度を着実に上げていくことが可能になります。また、先にも少し触れましたが、この過去の成功パターンから仮説自体を設定する方法も非常に有効な手段です。

結果をトレースする

実際にスコアリングした結果に基づいてリストを抽出し、そのリードに対して何らかの施策を行った後で、その結果をトレースするようにします。

例えば想定した数の成約が獲れたのか、望んだレスポンスを生み出すことができたのかなど結果を数値として把握し、成功した場合はベストプラクティスとして次回以降の施策に反映し、うまくいかなかった場合はその要因を分析します。

BtoBの場合は、結果の成否に関わらず実際にコンタクトした営業マンと状況の共有や分析を行って、スコアリングの方法や精度に関する検討を行うことも非常に大切です。

まとめ

  • スコアリングとは、リードをある基準に基づいて点数を付け、個々のリードの見込がどのような状態なのかを客観的に評価する手法のこと
  • スコアリングは、仮説に基づいて成約などに結び付くと思われるリードの属性や行動パターンを得点化し、ランク付けすることを行う
  • 抽出されたリストの確認や結果の検証作業により、スコアリングの精度を上げることができる。

いかがでしたでしょうか。今回は具体的なことにも踏み込んでご説明しました。まずはスコア化する項目を絞り込んで、できるだけシンプルな方法で始め、徐々に高度な方法を用いるのがお勧めです。そして検証作業も忘れずに行いましょう。

  • マーケティングオートメーションツール選定ガイドブック