モノからコトへ。体験型消費時代はUI/UXがカギを握る

近年、カスタマーエクスペリエンス(CX、顧客体験)という言葉が頻繁に使われ始めました。その背景には、技術の成熟や情報化が進んだことで、製品の機能や性能のみで他社と差別化することが徐々に難しくなってきたことがあります。CXを支える基本的な要素がUIとUXです。ここでは、UI/UXとはどのようなものか、また、どのような点に着目して改善すればよいのかを解説していきます。

モノからコトへ。体験型消費時代はUI/UXがカギを握る

近年、カスタマーエクスペリエンス(CX、顧客体験)という言葉が頻繁に使われ始めました。その背景には、技術の成熟や情報化が進んだことで、製品の機能や性能のみで他社と差別化することが徐々に難しくなってきたことがあります。CXを支える基本的な要素がUIとUXです。ここでは、UI/UXとはどのようなものか、また、どのような点に着目して改善すればよいのかを解説していきます。

UI、UXとは

UIとは

UIはユーザーインターフェース(User Interface)の略で、製品やサービスとそのユーザーとの間の接点を表す言葉です。具体的には、製品を操作するボタンやスイッチ、アプリのアイコンやボタン、説明表示などさまざまな機能パーツのこと。UIがユーザビリティの意味で使われる場合もありますがそれは誤用です。ユーザビリティは使いやすさの指標ですが、UIは上記のように実際の製品などの機能を指すからです。もちろん「ユーザビリティに優れたUI」が一般的に良いUIだと言えます。

UXとは

一方UXは、ユーザーエクスペリエンス(User eXperience)の略で、ユーザーが製品やサービスを利用する際にどのようなことを体験するかを表す言葉です。単に製品などを購入した後の使用感や使い勝手などだけではなく、購入までの経緯や購入後のメーカーサポートなどもUXに含まれます。さらに、メーカーから届くさまざまな情報やPRの内容もUXに含む場合があります。

UIとUXの違いと関連性

上記のように、UIとUXは似てはいますが別の概念です。アプリで例えると、UIは画面上に配置されているボタンやアイコン、メニュー、説明文など客観的に存在しているもののことです。それらのUIが接点となることではじめてユーザーはアプリを体験することができます。UXはそのUIなどを通じてユーザーに届けられるさまざまな体験のことです。UXは、ユーザー自身やその時々の状況などによっても感じ方が変化する主観的な概念です。

UIとUXそれぞれは異なる概念ですが、上記のように両者は非常に緊密に関連もしています。優れたUIを備える製品であれば、恐らくUXも質の高いものになります。また、UIを含めたさまざまな要素によってUXが決まっていきますので、UIはUXを構成する要素の一部だととも言えます。

UI/UXが注目される理由

モノ消費からコト消費への消費者意識の変化

近年特にUI/UXが注目されています。その背景には、まず市場の成熟による製品中心のモノ消費から体験中心のコト消費への変化があります。形のある製品、または無形のサービスのいずれの場合でも、その機能だけではなく、購入検討段階から購入後の使用感までの含めた一連の「体験」(=UX)に対して対価(お金)を支払うという傾向があります。そのような消費意識の変化を背景にUI/UXが注目されるようになってきています。

顧客接点の多様化

インターネット普及以降、企業サイトやオンラインショップ、SNSなどさまざまな種類の顧客接点が新たに生まれています。これら多彩な接点での企業と消費者とのコミュニケーションすべてがUI/UXと強く関わりを持つことになります。すなわちそこでのコミュニケーションがうまくいかなければUXの質も悪化しますし、元々UXの質が高ければ、より多くの接点でうまくコミュニケーションできるようになるでしょう。これらはUIについても同様のことが言えます。

LTV(ライフタイムバリュー)の重要性

一般的に新規顧客獲得コストよりも既存顧客への商品販売コストの方が低いと言われています。また、需要や市場の変化がますます早まる中、既存顧客にいかに継続購入してもらいLTVを上げるかがより重要な課題となります。リピート購入してもらう際に重要な要素が、実際に商品などを購入・使用した際の体験でしょう。せっかく購入したのに期待以下の体験しかできなかったのであればリピート購入は望めません。

UI/UXの改善に必要な基本的な要素

どのようにしてUI/UXを改善すべきなのか。具体的な対応策は、製品内容やさまざまな接点の状況によって異なります。しかし、次に挙げるようなある程度共通の要素もあります。

分かりやすい、見やすい

製品やWebサイト、アプリなどさまざまな種類の接点で、まず重要になるのが「分かりやすくて見やすい」こと。非常に洗練されたデザインのものであっても、どの情報がどこに表記してあり、そもそも何のためのWebサイトや製品なのかが分からない、というようなものもまれに見受けられます。「洗練されたデザインと分かりやすさ/見やすさは両立しない」と言われることもありますが、それは誤解です。デザイン的配慮とUI/UX技術を駆使してそれらを両立させることは十分可能で、優れたデザイナーはそれを実現させるための技量を有しています。

使いやすい、使い方がすぐ分かる

製品やアプリなどは何かの目的に使うために購入しているはずです。仮に非常に高性能な製品であっても、その使い方が分からないのであれば、ユーザーに優れた体験を提供することができません。せっかく多彩な機能を有していたとしても、一部の機能しか使いこなすことができないような状態になるかもしれません。仮に使い方が分かっても、面倒な操作が必要な機能はあまり使いたいとは思わないでしょう。

トラブルや疑問が速やかに解決する

購入前の製品等に対する疑問や購入後のトラブルなどが速やかに解決することも、UI/UX改善にとって重要な要素です。一見UIは無関係に思われるかもしれませんが、問い合わせ先や問い合わせ方法がすぐに分かること(UI)が、迅速な問題解決につながります。

まとめ

●「UI」は、ユーザーと製品やサービスなどとの接点のこと
●「UX」は、ユーザーが製品の購入から利用後までの一連の体験を表す言葉
● ユーザーはUIなどを通じてさまざまな体験(UX)をする
● 消費者意識の変化や顧客接点の多様化に伴い、UI/UXが重視されてきている
● UI/UXを改善するための基本的な要素には、分かりやすさや使いやすさ、問題が速やかに解決されること、などがある

UI/UXは、新規客獲得と既存顧客のロイヤルカスタマー化の両方にとって非常に重要な要素です。ぜひユーザーの立場に立って、もう一度自社の製品やサービス、Webサイトなどを体験することで、UI/UXの検証してみてはいかがでしょうか。

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