鮮明な「商品コンセプト」で売れる商品を作る!
「これは誰が何に使うためのものだろう?」と疑問を持つ商品を見かける時がたまにありますね。自分が分からないだけなら良いのですが、元々「何のためのものなのか?」が明確になっていない商品の販売は困難が伴います。このようなことを防ぐために商品像を明確に定義するのが「商品コンセプト」です。今回は商品を「売る」ための商品コンセプトの作り方について解説します。
この記事の目次
「これは誰が何に使うためのものだろう?」と疑問を持つ商品を見かける時がたまにありますね。自分が分からないだけなら良いのですが、元々「何のためのものなのか?」が明確になっていない商品の販売は困難が伴います。このようなことを防ぐために商品像を明確に定義するのが「商品コンセプト」です。今回は商品を「売る」ための商品コンセプトの作り方について解説します。
商品コンセプトとは?
「商品戦略」の重要性
マーケティングとは、サービスなども含めた広義の「商品」を効率良く販売するための仕組みづくり、と言うことができます。
商品とは、経済学的には、消費者の欲望を満たすために生産され、金銭などと交換可能な物財などであると定義されますが、企業経営やマーケティング的な立場から意味付けすると「消費者に提供されることによって企業の利益の源泉となるモノやサービス」ということになるでしょう。
だからこそマーケティング活動によってより効率良く販売する仕組みづくりが必要になります。
マーケティング活動は、流通施策や販売施策、消費者とのコミュニケーション戦略など多岐に渡りますが、やはり最も大切なのが、この利益の源泉そのものである「商品戦略」です。
「商品コンセプト」の3つの要素
商品戦略を立てる上で重要なのが「商品コンセプト」です。
商品コンセプトとは、「誰に?」、「何を?」、「どのように?」提供する商品なのかの3つの要素を明確にすること。
新商品開発の際には、まずそのコンセプトを策定するのが一般的です。また、商品開発後のマーケティング施策も商品コンセプトに沿った形で行われます。
それでは商品コンセプトの3つの要素がそれぞれ具体的に何を意味するのかを見てみましょう。
「誰に?」-商品のターゲット
まず、誰が使う商品なのか? または、使いたいと思う商品なのか? それを明確にします。「20歳代の女性」などのような大枠のくくりよりも、「20歳代後半の会社員女性。年収○万円程度。
一通り仕事に慣れてきたがこのまま仕事を続けるかどうか少し悩み始める時期。・・ 」など、ある程度具体的な人物像を描くレベルまで消費者像を浮かび上がらせた方が、商品が受け入れられるかどうか具体的な判断もやりやすくなります。
しかし、ターゲットがあまり細かいと規模が小さすぎて市場として成立しなくなる場合もあるので、注意が必要です。また、ターゲットは必ずしも1つの層だけで構成する必要はなく、別々のいくつかの層で構成しても問題ありません。
「何を?」-商品のベネフィット
次に考えなければならないのが、そのターゲットに対してどのようなベネフィット(利便性)を提供するのか? ということです。ベネフィットと言っても必ずしも即物的な価値だけではなく、近年よく言われるように、唯一無二の体験や楽しさなどの抽象的な価値であっても問題ありません。重要なのはその商品によって最終的に満足感が得られるかどうかです。
また、製品の性能や機能が必ずしも消費者にベネフィットを与えず、商品の価値向上には貢献しない場合もあることを心得ておく必要があります。
例えば、デジタルカメラの画素数は一般的に高い方が良いと言われていますが、画素数が高ければそれだけあらも目立つので、ある程度慣れている方にとっては良いですが、初心者にとっては「扱いづらいカメラ」になる可能性があります。
製品の性能や機能からアプローチする場合は、本当にそれが消費者にベネフィットを与えるのかどうか、冷静に判断する必要があります。
「どのように?」-商品ベネフィットの提供方法
ベネフィットを具体的にどのようなシーンでどのような方法で提供するのか? 定めておく必要があります。これがその商品が提供できるベネフィットの根拠となります。
「より短時間で調理可能な冷凍食品」であれば、なぜ通常の冷凍食品よりも短時間での調理が可能なのか? またそれはどのようなシーンでベネフィットを提供するのか? を明確にしておくことで商品ベネフィットが提供される具体的な根拠となり得ることができます。
商品コンセプト=商品価値!
ここまで見てきたように、商品コンセプトは商品の価値を定めるものと言うこともできます。そしてその価値を決めるのは、お金を出して購入する消費者です。従って商品コンセプトを決める場合は消費者から見た価値、消費者視点で考える必要があります。
また、商品開発中などにひらめいた商品アイデアは、この商品コンセプトに置き換えることで初めて商品化することが可能になります。もしもそのアイデアで商品コンセプトを定義できない場合は、そのアイデア自体に商品化の価値がない可能性があるということになります。
商品コンセプト作成のポイント
マーケットインかプロダクトアウトか?
商品コンセプトは実は意外に簡単に作ることができます。しかし「売れる商品」のコンセプトづくりとなると、非常に難しい作業です。
売れる商品のコンセプトは、まずターゲットやベネフィットなどの内容が一般的な市場として成立できることが最低条件となります。その上で、市場にマッチしているか、または先取りしているかいずれかの条件を満たす必要性があります。この市場に「マッチしているか、または先取りしているか」というところがポイントです。
商品コンセプトは通常、マーケットインの発想で作成するのが良いと言われています。すなわち、どのような消費者が(ターゲット)、どのようなシーンで(提供方法)、何を求めるのか(ベネフィット)をさまざまな手法で明らかにした上でそれを商品コンセプトに当てはめる方法です。
なるほどその方法では市場にマッチした商品を生み出すことはできますが、現状を満足させる商品コンセプトは出せても、「今ここに無い新たなニーズ」を生み出すことはできません。
そこで注目されているのがプロダクトアウトの手法です。プロダクトアウトと言えば、高度成長期に行われた大量生産製品を生産/販売する手法だとのイメージを持たれている方もおられるかもしれません。
しかしプロダクトアウトの本質はよく言われるような「製品ありき」という発想ではありません。上記のマーケットインによるアプローチが、すでに顕在化されたニーズに合わせて商品を作るのに対して、プロダクトアウト的なアプローチは、いまだ顕在化されていない潜在的なニーズに焦点を当てて商品を生み出します。
従ってニーズ予測が外れるリスクはありますが、予測がヒットすれば今までにない画期的な商品を生み出すことができる手法です。近年ではApple社のiPhoneが代表的な例でしょう。
どちらが良い/悪いということではなく、元の商品アイデアや市場の動向、自社の状況などによって都度適していると思われる手法を選択するのが正しいやり方です。
独自性と強みを徹底的に分析する
売れる商品コンセプトを作成する際に必要なキーワードは「強み」と「独自性」です。
まずは商品の強み、または強みになりそうなところを分析し、それが消費者に対してどのようなベネフィットを生み出すことができるのか、を徹底的に考えることが必要です。
ここでのポイントは、先にも申し上げたとおり、商品の強みが必ずしもそのまま消費者に対するベネフィットを生み出すわけではないので、それを一旦ベネフィットに置き換えることです。
そしてさらに、その強みから生み出されたベネフィットを「独自性」のあるものに仕上げていきます。
これらの作業は必ずしも直線的に進むものではなく、独自性が発揮できなければまた最初に強みに戻って、ターゲットを変えた上でもう1度ベネフィットを考え直してみたりするような作業になります。この「強み」と「独自性」によって売れる商品コンセプトを作成することが可能になります。
まとめ
- 商品コンセプトは、商品戦略を策定する際の基礎となるもので、それに従って商品開発やマーケティング施策が行われる
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商品コンセプトは、商品のターゲット、ベネフィット、提供方法の3つの要素で構成される。
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マーケットイン/プロダクトアウトのいずれのアプローチを採用するかは、アイデアや市場/自社の状況によって判断するべき
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売れるためのコンセプトづくりは「強み」と「独自性」がキーとなる
いかがでしたでしょうか。いいアイデアが思いついたらまずそれを商品コンセプトに置き換えてみること。そうすることで、「売れる商品」像がよりはっきりと見えてくるでしょう。