顧客分析で、見えない顧客像を明らかにする!

顧客分析は、事業戦略やマーケティング戦略を策定する上で、競合分析や自社分析と共に最も重要な分析の1つです。Customer(顧客、市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の3C分析のフレームワークの要素の1つとしても知られています。顧客が集まり市場を形成することになりますので、顧客(群)は市場と同じ意味ですから、商品やサービスの買い手としての顧客の状況をつぶさに知ることの重要性はどなたでも感じるところでしょう。

そのような顧客の状況を客観的に分析し、そこから意味のある答えや知見を見出すことによって、戦略策定などに具体的に役に立つ『顧客分析』の方法について今回はご紹介します。マーケティング関連部門の方だけではなく、顧客と接するさまざまな部門の方はぜひご参照ください。

顧客分析で、見えない顧客像を明らかにする!

顧客分析は、事業戦略やマーケティング戦略を策定する上で、競合分析や自社分析と共に最も重要な分析の1つです。Customer(顧客、市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の3C分析のフレームワークの要素の1つとしても知られています。顧客が集まり市場を形成することになりますので、顧客(群)は市場と同じ意味ですから、商品やサービスの買い手としての顧客の状況をつぶさに知ることの重要性はどなたでも感じるところでしょう。

そのような顧客の状況を客観的に分析し、そこから意味のある答えや知見を見出すことによって、戦略策定などに具体的に役に立つ『顧客分析』の方法について今回はご紹介します。マーケティング関連部門の方だけではなく、顧客と接するさまざまな部門の方はぜひご参照ください。

顧客分析の目的

顧客分析の目的は「顧客生涯価値の最大化することによってマーケティング効率を向上させる」ことです。顧客生涯価値はLTV(Life Time Value )とも呼ばれ、一人の顧客が生涯を通じてその企業にどれだけの利益をもたらすかを表すものです。顧客分析では、顧客生涯価値を最大化するために次のようなものを明らかにしていきます。

商品の真の購入動機を知る

顧客がなぜそのブランドや商品を購入するのか、またなぜ購入しないのかの本当の理由を把握することは重要です。さらに購入するタイミングや購入量などの量的な要素も把握できれば、より精緻な戦略を組み立てることが可能になります。

さまざまな顧客属性により顧客像を明確にする

漠然と顧客像をとらえようとしても、なかなか明確にはなりにくいものです。そこで顧客を国や地域などの地理的変数や、年齢や年収などの人口統計分布、また嗜好や価値観などの心理的変数、さらに購買行動やWeb上での行動などの行動変数などにより細分化していくことで、顧客像を明確に浮かび上がらせます。

顧客の属する市場規模や将来性を把握する

自社の顧客が属する市場規模が一定以上の規模でないと、自社の目標とする売上/利益を達成することはできません。従って商品開発や市場投入などの前に現状の市場規模(ターゲットの顧客数/規模)を把握しておく必要があります。また将来的にその市場規模は拡大するのか縮小するのかも合わせて調査/分析します。

顧客の購買プロセスを把握する

顧客が何らかの不便や課題を感じ始めてから実際に購入するに至るまでのプロセスは、その時々の状況や商品特性などにより千差万別です。またBtoCとBtoBでも大きく差があると言われています。このような購買プロセスを把握しておくことでどのような場面でどのようなコミュニケーションを取れば良いのかが分かります。

実際にはこのような項目が1つの顧客分析の手法ですべてが明らかになる訳ではありませんので、重視したい項目や目的に合った分析手法を用いることになります。

顧客セグメンテーション分析

それでは具体的な顧客分析の手法を2つご紹介します。1つ目は顧客セグメンテーション分析です。

顧客セグメンテーション分析とは?

顧客セグメンテーション分析とは、顧客の状況を全体からおおざっぱに見るのではなく、さまざまな属性で細分化し、属性別の購買行動を分析することで、顧客の商品購買特性を見出すための分析です。

どのような属性を持ち、今までにどのような購買行動をとった顧客セグメンテーションが、その商品を購入するのかが分かれば、よりポイントを絞ったプロモーションなどを行うことができます。また、あまり購入しないセグメンテーションがあらかじめ分かれば、無駄を省くことでコスト削減につながります。

顧客セグメンテーション分析の方法

顧客セグメンテーション分析で求められるのは、さまざまなセグメンテーションと購入結果の相関関係ということになりますので、それほど簡単に求められるものでもありません。顧客を区分する属性のくくりは多数存在し、相関関係を想定する際の選択肢が非常に多いため、なかなか人の力では困難な作業となります。従って通常はデータマイニングや統計解析などの手法を用いて関係性を見出していきます。

分かりやすい例としてデシジョンツリー(決定木)を用いたもので分析結果の例をご説明します。デシジョンツリーとは、条件を2つずつに分けてそれぞれ条件が合致するものを記載していき、それをさらに条件分岐していくものです。分岐条件やどこまで分岐して細分化するのかは、状況や見出したい結果により分析者が定めます。

通信販売のセグメンテーション分析として、ある商品を買うセグメント、または買わないセグメントを分析する例でご説明します。

まず会員全体は10,000人で10%が購入したとします。最初の分岐(デシジョン)条件を「興味分野」として、一方を「映画・音楽」に興味があり、もう一方を「スポーツ・旅行」に興味があるセグメントに分けると、「映画・音楽」セグメントの購入率が30%、「スポーツ・旅行」の方が5%で前者の方が良い結果でした。「映画・音楽」をさらに細分化して今までの購入回数が10回以上と未満で見てみると「10回以上」の場合が60%、「10回未満」が20%となり、「10回以上」をさらに年齢で「30歳以上」と「30歳未満」でセグメントすると前者の購入率が30%、後者が90%という結果になりました。

他のすべてセグメントについて同様の分析を行った結果、上記の90%が最も高くなったとすると、「映画・音楽」に興味あり、今まで「10回以上」購入した「30歳未満」の顧客セグメントが最も購入率が高いということになります。

このような分析がデシジョンツリーによる顧客セグメンテーション分析です。購入率が最も高い層だけではなく、最も低い層や中間層を分析したり、また分岐する条件を変えたりして、目的に応じた分析を行います。

なお、上記の例では簡略化するためにそれぞれのセグメントの人数は割愛しましたが、実際には絶対数がどれだけいるかも重要な要素です。購入率がいくら高くても絶対数が極端に少なければ施策対象としての意味が薄くなり、それほど購入率が高くなくても絶対数が多ければ、何らかの施策対象となり得るからです。

顧客セグメンテーション分析の結果に基づいて、注力するセグメントに効果的なプロモーションを展開したり、商品を購入する層や反対に購入しない層からの意見を吸い上げて商品開発に生かしたりすることなどが可能になります。

RFM分析

2つ目はRFM分析をご紹介します。RFM分析とは、顧客との取引状況を「最新購買日(Recency)」、「購買頻度(Frequency)」、「購買金額(Monetary)」のデータからランク付けし、顧客または顧客グループの重要度や特性を判断する分析手法です。単純に購買金額が大きい顧客を優良顧客として認識したりせずに、最新購入日や頻度などの多角的な観点でランク付けするところに特徴があります。

それぞれのデータは次のような意味を持っています。

最新購買日

仮に購入金額が同じでも、より最近に購入した顧客の方が重要だと考えます。実際の分析では、月単位や年単位などどの程度の粒度でランク付けすれば良いのかを、状況や分析の目的などにより判断します。

購買頻度

購買頻度が高い顧客は、いわゆる「常連客」です。しかし常連客が必ずしも売り手に対して大きな利益をもたらしているとは限らないので、例えば購買金額と掛け合わせてランク付けをする必要があります。全体的に購買頻度が高い顧客が多い方が良い状態のようにも思えますが、新規の顧客が減少してきているという可能性もありますので検証が必要になります。

購買金額

他の条件が同じであれば、購買金額が大きいほど貢献度の高い顧客ということになります。購買金額の大小だけで顧客の貢献度を計るケースもありますが、例えば1回だけ高額商品を購入したために購買金額が高くなっているが、その後は自社に関心を全く示していないケースなどもあり得ます。従って総合的な貢献度はやはり他のデータと合わせて判断する必要があります。

このようにRFM分析は、多角的な切り口で分析することにより、単一視点で顧客貢献度を判断した場合の弊害を取り除き、顧客の実態をリアルに把握することができる分析の手法です。

最新購買日(R)、購買頻度(F)、購買金額(M)のデータとも良ければもちろん「最優良顧客」ですが、Rが古く、F、Mが高い場合は他社に流れている可能性がある、逆にF,Mが低くてもRが新しい場合は将来に貢献する可能性が高い、またRが同じならFやMの高い方が購買力がある、などのさまざまな切り口で顧客の状態を把握し、顧客グループや個別の顧客ごとに必要な施策を講じることができます。

まとめ

  • 顧客分析の目的は、商品の購入動機や購買プロセスを把握することにより顧客生涯価値の最大化することである
  • 顧客セグメンテーション分析は、顧客をさまざまな属性や購買行動で細分化して分析することで、商品の購買特性を見出すための分析手法
  • RFM分析は、顧客との取引状況を「最新購買日」「購買頻度」「購買金額」でランク付けし、顧客の重要度や特性を判断する分析手法

いかがでしたでしょうか。「顧客を知る」ことはビジネスで最も基本的な事柄です。顧客に関する現在までの自らの経験や知識も貴重なものですが、それだけですべてを知った気になるのも危険。今回ご紹介したような客観的な分析手法もぜひ積極的に活用してください。

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