採るべき戦略に迷ったら?「市場分析」で現状を把握しよう!

“敵を知り己を知れば百戦殆うからず”の言葉通り、さまざまな状況や情勢に関して素早く的確な判断を下せるものが市場で有利な戦いができます。そのために、マーケティング戦略や事業戦略策定時などにおいては、状況をできるだけ客観的に把握するためのさまざまな分析フレームワークが用いられます。

市場分析で用いられる分析フレームワークは、その対象や手法によって多くの種類がありますが、代表的なものが「3C分析」と「SWOT分析」です。3C分析とSWOT分析は実際の企業の戦略策定時などで、最もよく用いられる分析フレームワークの1つですので、今回はこのフレームワークの解説を通じて、自分たちが置かれている市場の状況を客観的に把握する方法を確認してみたいと思います。

採るべき戦略に迷ったら?「市場分析」で現状を把握しよう!

“敵を知り己を知れば百戦殆うからず”の言葉通り、さまざまな状況や情勢に関して素早く的確な判断を下せるものが市場で有利な戦いができます。そのために、マーケティング戦略や事業戦略策定時などにおいては、状況をできるだけ客観的に把握するためのさまざまな分析フレームワークが用いられます。

市場分析で用いられる分析フレームワークは、その対象や手法によって多くの種類がありますが、代表的なものが「3C分析」と「SWOT分析」です。3C分析とSWOT分析は実際の企業の戦略策定時などで、最もよく用いられる分析フレームワークの1つですので、今回はこのフレームワークの解説を通じて、自分たちが置かれている市場の状況を客観的に把握する方法を確認してみたいと思います。

3C分析

3C分析とは?

3C分析とは、その企業が置かれている環境を顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)のそれぞれの視点から分析する方法で、3つ語の頭文字を取って3Cと呼ばれます。各要素に関して、市場における現状と変化を把握することによって、その企業がどのような戦略を採択すればより有利になるのかの指針を与えてくれます。

顧客分析

3C分析は通常、顧客(Customer)→競合(Competitor)→自社(Company)の順に行われます。ビジネス要素として最も重要だと考えられる顧客からまず分析を始めることになります。顧客分析は、市場を軸にして顧客自身を取り巻く環境の変化や、それに伴うニーズやシーズの変化を分析します。顧客分析を行う場合は、一旦自社の立場を離れて顧客自身の立場や価値観で分析を行う必要があります。

競合分析

顧客分析で得られた着眼点やその他の重要と判断できる視点で、競合の競争力などの評価/分析を行います。競争力を評価する視点は多数あり、網羅的に分析してもあまり大きな意味はありません。重要な評価軸に絞って分析することが大切ですので、顧客や市場の状況からまずどのような視点で分析すべきかを判断する必要があります。

また、現在の状態だけではなく、バリューチェーンなどの確認した上でその企業の本質的な強みや弱みについても可能な限り深掘りした方が良いでしょう。

自社分析

顧客分析、競合分析の結果を受けて最後に自社の状況に関して分析を行います。
3C分析の目的は、あくまで自社の競争力を強化するための事業戦略やマーケティング戦略策定時に方向性や指針を与えることです。従って顧客や競合の状況に、自社がどのように対応していけばより良い状況になるのかを考慮しながら分析します。もちろん極端にネガティブな視点や、反対にポジティブな視点で分析しては意味がありませんので、ニュートラルかつ客観的な視点で分析することが肝要です。

3C分析の例

説明ばかりでは少し分かりづらいと思われますので、3C分析の例を掲載します。「どこまで深掘りするか?」などの分析のレベル感や対象範囲は、策定しようとしている戦略の深さや広さにフィットするように選択する必要があります。

<例>
想定:国内パソコンメーカー

顧客分析(顧客/市場の状況)

  • タブレット、スマートフォン普及によるPCへの需要の低下
  • コスト感が厳しくなり需要が低価格帯にシフト
  • クリエイターやゲーマーなど一部の高価格ハイスペックモデルへの需要は底堅い
  • 技術が成熟しているので近々に革新的な製品が出る可能性は低い

競合分析(競合の状況)

  • 製品間スペックの差がなくなってきたので各社とも商品ポジショニングに苦戦
  • 一部の特徴(狭額ディスプレイ、軽量など)をもって各社勝負している現状
  • コスト競争力に勝る企業、または販社や流通に強い企業が有利に展開している
  • 一部ブランド力のある企業が善戦している

自社分析(自社の状況)

  • コスト競争力が少しずつ向上しているが特に有利とも言えない
  • ブランド力は全体の中では高い方
  • 流通経路は弱く直販中心
  • 高スペック製品は話題にはなるもののそれ程売上は上がっていない
  • 価格とスペックのバランスを取ったビジネス向けモデルが好調

SWOT分析

SWOT分析とは?

3C分析は、顧客、競合、自社という市場の各プレイヤーを軸に市場分析をしましたが、SWOT分析は「強み(Strength)と弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)と脅威(Threat)」という、自社の内部要因と外部からの影響を軸に分析を行います。(この4項目の頭文字を取ってSWOTと呼ばれる。)

「強みと弱み」は主に自社に関してのことですので内部環境、そして「機会と脅威」は経済状況や市場状況、また自社の事業に影響を及ぼす社会状況なども含む外部環境が分析対象となります。

分析は通常、外部環境(機会と脅威)から着手します。その際にはマクロ分析で用いられる「PEST」(政治(Politics、規制や法律)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology))や、市場におけるさまざまなプレイヤーの交渉力などを分析する「ファイブフォース」などのフレームワークを並行して用いるケースが多くあります。

自社の「強み弱み」に言及する際は、ついつい主観的な判断をしてしまいがちですので、希望的観測や逆に悲観的な見方にならずに、あくまで客観的な分析を行うことが重要です。場合により競合との比較表を作成すれば、自社の状況を冷静に把握することができます。また、自社の価値を評価するために自社のバリューチェーン分析を改めて実施してみるのも良いでしょう。

分析結果を戦略に落とし込む

「強みと弱み」と「機会と脅威」の軸で分析した結果は、縦軸と横軸で「強みと弱み」×「機会と脅威」の軸で記述し(縦横はどちらでも良い)、それぞれの項目が交差する箇所を「機会×強み」、「機会×弱み」、「脅威×強み」、「脅威×弱み」の合計4象限に分類して分析を行います。

クロスSWOTとも呼ばれるこの方法で分析することで、戦略への落し込みが可能になります。各4象限にある要素の戦略オプションは次のようになります。

「機会×強み」

自社に強みがあり、外部環境的にもチャンスが広がりつつあるので積極的に取り組むべき対象となります。

「機会×弱み」

外部環境は良くても現状では積極策を取ることができませんので、弱みを克服して積極策採るかどうかに関して検討します。自社に利益をもたらす場合は積極投資の対象としますが、時間が掛かり過ぎたり費用対効果が出ない場合は保留します。

「脅威×強み」

訪れようとしている脅威に対して自社の強みを生かして切り抜ける方法を採ります。可能であれば脅威を機会に変えることを考えます。

「脅威×弱み」

あまり見たくない現実ですが、客観的に判断し手当することが必要な領域です。”被害やデメリットを最小化”する施策を早急に実施する必要があります。場合により、この分野からの撤退も選択します。

SWOT分析の例

SWOT分析も説明だけでは分かりづらいと思いますので事例を記載します。実際の分析ではもっと多くの項目がアウトプットした方が良いでしょう。

<例>
想定:国内パソコンメーカー

機会(Opportunity)

  • ビジネス用途の需要は底堅い
  • 高価格帯のハイスペック製品の需要は底堅い
  • 一部を除いて部品価格は下降傾向にある

脅威(Threat)

  • 価格競争が激化している
  • モバイル端末普及によって需要が低下している
  • 革新的な新技術が開発される可能性が低くなってきた

強み(Strength)

  • ブランド力が高い
  • 価格とスペックのバランスが取れたビジネスモデルが現在好調
  • 国内生産のため品質は高い

弱み(Weakness)

  • 販売/流通経路が弱い
  • コスト競争力が低下傾向にある
  • 生産キャパシティが他社に比べて低い

まとめ

  • マーケティング戦略や事業戦略策定時には、現状を把握するためにさまざまな分析フレームワークが用いられる
  • 3C分析は、自社の置かれている環境を顧客、競合、自社のそれぞれの視点から分析する方法で、現状と変化を把握することにより企業が選択すべき戦略の指針を与えてくれるもの
  • SWOT分析は、内部要因の「強みと弱み」と外部環境である「機会と脅威」の軸で分析することにより、自社に有利で積極的に展開すべき領域や、その反対に撤退を検討すべき領域などの検討を可能にするもの

いかがでしたでしょうか? 3CやSWOT、またはその他の分析作業は「それによって何を得るか?」というゴールがなければなかなか意味のある作業にはなりにくいものです。反対にゴールさえしっかりと定められれば、多少粗めの分析でも意味のある結果が得られますので、一度取り組んでみてはいかがでしょうか。普段気が付かないものが見えてくるかもしれません。

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