価格競争で消耗しないための『製品差別化』戦略

近年は市場の成熟度が高く一般的に飽和状態である場合が多くあります。そのような時代や状況においては往々にして価格競争に陥る傾向にあります。

価格戦略やコストリーダーシップ戦略が必ずしも悪いという訳ではありませんが、自社がコスト優位性を持っていない限りは企業の体力を消耗させる消耗戦になる危険があります。そのような不利な状況を避けるための1つの方法が「製品差別化」戦略です。今回はそのような製品差別化とは一体どうゆうものなのか、どのように適用すれば良いのかを解説します。

価格競争で消耗しないための『製品差別化』戦略

近年は市場の成熟度が高く一般的に飽和状態である場合が多くあります。そのような時代や状況においては往々にして価格競争に陥る傾向にあります。

価格戦略やコストリーダーシップ戦略が必ずしも悪いという訳ではありませんが、自社がコスト優位性を持っていない限りは企業の体力を消耗させる消耗戦になる危険があります。そのような不利な状況を避けるための1つの方法が「製品差別化」戦略です。今回はそのような製品差別化とは一体どうゆうものなのか、どのように適用すれば良いのかを解説します。

製品差別化のメリットと考え方

どんな時に製品差別化を行うべきか?

製品差別化とは、製品そのものの機能や品質、デザインまたはアフターサービスや販売方法など、価格以外の部分に独自性を持たせ、それをアピールすることで他社製品との違いを訴求する戦略です。製品差別化は、製品の独自性を訴求することによって価格競争を回避することが可能になります。反対に、製品自体に独自性や特徴が無い場合は価格によって競争せざるを得なくなります。

その製品が販売される市場の視点で見てみると、消費者の嗜好が多様化していて市場の集中度が低い場合は製品差別化が成功しやすく、消費者の嗜好が同質化しているような集中度が高い市場では差別化が困難になるために価格戦略が有利に働きやすくなります。

このように、製品差別化は、数多く存在する戦略オプションの1つですが、次のような状況では製品差別化が効果的に働くため、積極的に採用すべきです。

  • 該当製品の市場の集中が低く消費者の嗜好が多様である
  • 自社製品の価格競争力が弱い
  • 自社のブランド力が高い
  • 実際に差別化要因となる特長を持っている。

また、製品差別化戦略は厳密にいうと、製品そのもの機能などの差別化を図る場合と、製品自体は競合製品と差別は付けなくても、プロモーションなどを通じたイメージによって差別化をする方法があります。

どのような考え方で差別化すればよいか?

製品の「差別化」は単なる製品間の「差」であれば良いという訳ではなくその差に何らかの戦略上の意味がなければなりません。差別化を考える上では、「ポジショニング」と「購入決定要因」という2つの要素がポイントとなります。

ポジショニング

ポジショニングとは、商品の特性やベネフィットなどの軸で製品群を2軸でプロットしたもので、商品戦略などに利用されるものですが、製品差別化の戦略を練る上でも欠かせないものです。現在の製品のポジショニングを確認した上で、どのような差別化を実施すればより有利でユニークなポジショニングにできるのかをあらかじめ確認しておく必要があります。

購入決定要因

もう1つのポイントが、その差が消費者にとって意味のあるものかどうかです。「売る」ための差別化ですので、消費者が実際に商品を購入する時に基準にしている軸で差別化しなければ意味がありません。逆に言えば、消費者がどのような視点で商品を購入しているかを知っておく必要があるということです。そのような消費者が実際に商品を選択/購入する際の要因となるものは「購入決定要因」と呼ばれます。

どのような軸や基準で差別化すればよいか?

それでは、具体的にどのような差別化が可能なのか例を挙げながら見てみましょう。

製品自体で差別化する

形態

大きさ、形状、構造などを変えることで差別化することができます。同じ機能でより「小型化」する場合や、扱いやすい形状や構造にする、容量などを増やすなどの差別化が可能です。

機能/品質

今までできなかったことができる、より早くできる、より正確にできるなどその製品を使用して達成できることが今までにない性質のものであれば、有効な差別化の軸になります。

耐久性

耐久性も大きな差別化要因となります。単に丈夫であるということだけではなく、部品の交換や修理が容易であったり、汎用性の高い交換部品を使用していたりして「総合的に長く使える」という意味での耐久性が差別化のためには重要です。

デザイン

デザインも大きな差別化要因となります。近年はテクノロジーの成熟によって機能面での大きな差別化が困難になってきており、なおかつ購入後の総合的な満足感や体験が重要視されるようになってきた昨今では特にデザインの影響力が大きくなってきています。中でも使いやすさと美しさを兼ね備えた製品は、より大きな商品力を持つことになります。

製品の提供方法やアフターサービスで差別化する

早く入手できたり入手しやすい

飲食店などで注文品が早く出てきたり、通信販売で即日や翌日に届く、また多くの店舗で取り扱っておりどこでも入手できるなど注文してから消費者の手元に届くまでの時間や手間を省くことで差別化するものです。

購入後のサービスや対応が充実している

消費者が商品購入後に体験した内容も、その後の製品差別化に大きな影響を与えます。例えば商品の保証、修理内容は充実しているか、購入後のサポートが充実していたり親切か、さらに商品購入者同士のコミュニティなどで情報交換ができるかなど切り口で差別化を図ることが可能です。

製品差別化とマーケティング戦略、ブランディングとの関係

ご紹介したように、製品差別化の軸や切り口はさまざまなものが考えられます。

しかしながら、昨今はテクノロジーの進歩が成熟化していることに加えて、消費者の嗜好も多様化しており、製品が持つ特性だけで明確に差別化をするのが、年々困難になってきています。

従って、製品の特性だけではなく、コミュニケーション戦略を含めたマーケティング施策全体で差別化を図る方法が主流になりつつあります。すなわち。「どのような製品なのか」に加えて「プロモーションなどでどのようなメッセージを発信するのか」という視点がより重視されつつあり、先にご説明したポジショニングの考え方と合わせて、マーケティングコミュニケーションのプランニングが戦略面では比重を多く占めるようになってきました。

また、製品差別化はその企業や製品群のブランドとの関連にも留意し進める必要があります。

ブランドは一種の企業の消費者に対する「約束」とも言えますので、そのブランドにそぐわない製品の差別化は、消費者の賛同が得られず成功する確立が低くなります。しかも元々のブランドを毀損する恐れもあるので十分注意を払う必要があります。あえて戦略的に既存のブランディングからの差異を狙うのであれば良いのですが、気が付かない間にブランドを毀損していたということにならないように注意を払いましょう。

まとめ

  • 製品差別化とは価格競争に陥らないための戦略である
  • 製品差別化は、自社の製品や市場が自社製品の差別化に有利に働く時に積極的に選択すべき戦略である
  • 差別化の軸は製品そのものの特長を始め、提供方法/アフターサービスなどに関わる要素など多数の要素がある

いかがでしたでしょうか。製品差別化の事例で最も有名なものの1つが米Appleの例です。

Appleは今でこそ優良企業ですが、90年台には売却や合併が囁かれるほどの問題企業でした。それを立て直したのが1997年にAppleに復帰したスティーブ・ジョブズです。ジョブスはこれまでの製品ラインを整理/縮小し、その代わりにそれぞれの製品ラインに明確な差別化を行うことで成功しました。その結果がその後のiPodやiPhoneのヒットにつながっています。

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