「商品のポジショニング」で自社商品の存在感を高めよう
「ポジショニングがしっかりしていないといくら良い商品でも売れない」「新商品を開発する前にポジショニングを明確にしておかなければだめだ」などの声はよく耳にします。
それでは商品のポジショニングとは一体何なのでしょうか?また、なぜポジショニングをしっかり行っていないと商品が売れないのでしょうか?
今回は、商品のポジショニングが持つ意味と実際のポジショニングの方法についてご説明します。商品開発やマーケティング担当の方だけではなく、さまざまな業務で応用できる考え方ですのでぜひ参考にしてください。
この記事の目次
「ポジショニングがしっかりしていないといくら良い商品でも売れない」「新商品を開発する前にポジショニングを明確にしておかなければだめだ」などの声はよく耳にします。
それでは商品のポジショニングとは一体何なのでしょうか?また、なぜポジショニングをしっかり行っていないと商品が売れないのでしょうか?
今回は、商品のポジショニングが持つ意味と実際のポジショニングの方法についてご説明します。商品開発やマーケティング担当の方だけではなく、さまざまな業務で応用できる考え方ですのでぜひ参考にしてください。
ポジショニングで商品の位置付けが決まる
商品ポジショニングとは?
商品のポジショニングとは、自社の商品が市場や消費者のマインドの中でどのような位置付けになるのかを明確にすることです。特に競合商品との比較においてそれらの商品と異なるポジションを取ることで、自社商品の特殊性や優位性を訴求することが可能になります。
逆に他の商品と機能が大きく違ったとしても、ポジショニングが近ければ消費者から見ればそれほど違った商品としては認識されず、同じような商品として捉えられてしまいます。
商品をポジショニングする場合は、縦横にそれぞれ違った切り口の軸を設定し、その軸を基準にして各商品をプロットする「ポジショニングマップ」を作成します。
例えば、縦軸に「機能性」、横軸に「ファッション性」などのポジショニングの基準となる軸を設定し、自社商品と競合商品をそこにプロットしていけば、それぞれの商品がどのようなポジションにあるかがひと目で把握できます。
なぜ商品ポジショニングを行うのか?
このように商品のポジショニングは、自社商品の価値を明確にし、なおかつ他社商品との差別化を行うことで、マーケティング施策やブランディング、また新商品開発において重要な役割を果たします。新たな商品を世に出す場合はもちろん、販売中の商品に関してもポジショニングを再考することで今までにない市場や顧客を獲得できる場合があります。
しかし他の商品と「違い」が必ずしも自社に有利に作用する訳ではありません。他の商品との違いを自社に有利な要素としてマーケティングで活用するためには、商品のポジショニングをどのように行うべきなのかを理解しておく必要があります。さらに、その商品のポジショニングが消費者にとって何らかのメリットを感じさせるようなものでなければ、ポジショニングを行う意味がありません。
ポジショニングの事前準備とポイント
実際にポジショニングを行う前には以下のことを確認しておく必要があります。
ポジショニングには事前準備が必要
先にも申し上げたとおり、ポジショニングとは市場や消費者のマインドの中での商品の位置付けです。従ってポジショニングを行う前に、対象となる市場の状況や消費者像を明確にしておく必要があります。
まずは、いわゆる市場分析によって市場環境や規模、ニーズの変化や成長性などを把握する必要があります。続いて自社商品のターゲットとなる消費者がどのような層なのかを見極めた上で、その消費者層の属性や特性を洗い出します。このように「どこで誰に売るのか」を明確にした上で商品のポジショニングを行います。
ポジショニングマップ作成のポイントは?
ポジショニングマップの作成は縦横の2軸を設定することころから始まります。どの要素を縦軸にするか横軸にするかはあまり意味がありませんが、どのような要素や基準を軸として設定するのかは非常に重要です。あまり重要ではない基準で比較しても結果的に役立つポジショニングにはなりません。
ポジショニング軸を決める際のポイントとなるのが、消費者が商品を選択したり購入したりする時の判断基準となる「購入決定要因」に着目するとこです。消費者が実際に商品を比較検討し、最終的に「その商品を選択する理由や基準」と「ポジショニングの軸」が同じ目線であることが必要です。
最適なポジショニング軸を設定する
それでは具体的にどのような軸でポジショニングを行えば良いのかを、例を挙げながら見ていきましょう。
商品の特徴や属性
商品そのものが持つ特性を軸とする場合です。例えばPCのハードディスク容量や化粧品の成分、自動車の燃費などがあります。客観的で専門的な訴求をする場合に有効な軸です。
価格と品質
価格や品質が高いか低いかの基準を軸にするものです。両者をそのまま2軸として利用することもありますが、いずれか一方とその他の要素を軸にする場合も多くあります。価格や品質が購買決定要因として働いている場合には非常に有効なポジショニング軸です。
商品を購入して得られるベネフィット
商品の特性そのものではなく、それを購入して得られるベネフィットを軸にします。例えば、「より臨場感を感じることができる」大型テレビや、「調理時間を短縮できる」フードプロセッサーなどがその例です。一般的には商品の特性よりもベネフィットの方が購買決定要因として働くことが多いのでポジショニング軸としてもよく用いられます。
商品の利用シーンや用途
ベネフィットと似ていますが、どんな場面で何のために使うのかを軸にするものです。例えば「給与計算用」のソフトウエアや「車内で使う」消臭・芳香剤などです。今まで着目されなかった場面や用途、また、今までとは違う使い方などを訴求する場合に有効です。
競合商品や他社商品との関係
他の商品との差に着目してポジショニングする方法です。具体的な軸は上記で挙げたものと同じになる場合がありますが、特に自社商品が優位となる軸でポジショニングを行うことで明確な差別化を図ることができます。
商品カテゴリー
同じ商品でも見方や使い方などによって商品カテゴリーが違ってくる場合があります。例えばメガネを「視力矯正の器具」として捉えるか「ファッションアイテム」として考えるか、また、ココナッツオイルが「飲料や料理用」だけではなく「ボディケアやヘアケア用品」として用いられるケースなどがあります。利用シーンなどと合わせて、新しい商品の利用イメージを消費者に提案する場合に特に有効なポジショニング軸です。
どのようなポジショニング軸を用いるのが適切なのかは、事前準備でお話しした市場状況やターゲット層、また商品の特性などにより判断する必要があります。
まとめ
- 商品のポジショニングとは消費者から見た商品の位置付けを明確にすること
- 正しく商品のポジショニングを行うことで自社商品の差別化を行うことができる
- ポジショニングの軸は消費者の購入決定要因に着目して行うことが必要
- 商品ポジショニングの軸はベネフィットや利用シーン、競合商品との関連などさまざまな視点がある
- どの軸を適用するのかは、市場やターゲット、商品特性などにより判断する必要がある
いかがでしたでしょうか。実際に商品のポジショニングを実践するシーンとしては、新商品開発時にポジショニングマップ上で空白地帯を見つけて、そこにめがけて新商品開発を計画する場合や、ポジショニングに基づいて競合商品との差別化を図るための商品改良、また、より有利なポジションで競争できるような位置にポジションを移動させる「リポジション」などがあります。
自社商品の強み(弱み)や競争力が良く分からない場合や疑問が生じた場合には、ぜひ商品のポジショニングを活用してみてください。