『展示会は準備で決まる! 効果を最大化するための展示会準備』

展示会で成功するためには企画面はもちろんですが、その準備段階から出展後のアフターフォローまで、運用の面でも緻密に行うことが必要です。

『展示会は準備で決まる! 効果を最大化するための展示会準備』

展示会への出展は、BtoBのマーケティングの主な手法の1つです。展示会の難しいところは、良い製品を出展したとしても、それだけでは必ずしも成功するとは限らないところです。展示会で成功するためには企画面はもちろんですが、その準備段階から出展後のアフターフォローまで、運用の面でも緻密に行うことが必要です。

今回から数回に分けて、効果的な展示会出展のための運用方法についてお話します。おおむね次のようなテーマを予定しておりますので、ぜひお付き合いください。

  • 展示会を成功させるために必要な事前準備
  • 有効なブースづくり
  • 適切な当日対応
  • 展示会後のアフターフォロー

※今後の掲載予定につきましては変更させていただく場合もございますのであらかじめご了承ください。

変わる展示会来場者像

展示会の成功させるためには「何のためにお客さまが展示会を見に来るのか?」を理解しておくことが必要です。

展示会の効果を評価する際に、「その展示会で何件具体的な商談が発生したか?」という基準を用いる場合がありますが、その基準は必ずしも適切とは言えません。なぜなら、展示会へ参加するお客様で「その場で商談しよう」と思っている方は年々少なくなってきているからです。

マスコミや主催者から、「こんな大手企業の役員が来場していて、その場でこんな大型商談が成立した!」などの情報が発生されることがありますが、それはむしろレアケース。稀だからこそ話題になると考えた方が良いでしょう。自分自身が足を運ぶ時のことを考えれば分かりやすいと思いますが、多くは「情報収集」のために行くのではないでしょうか。

従って、展示会出展にあたっては、商談成立数よりも「情報収集にくる自社製品カテゴリーに興味のある見込み客といかにコンタクトを取り、自社製品に好印象を持ってもらうか?」を、主な目標にする必要があります。そして商談の発生や売上目標は、短期的に見るよりも中長期的な評価基準とするのが適切です。

以上のようなことを念頭に置いて、さまざまな準備や運営を行うことが展示会成功の秘訣となってきます。

お客様に自社ブースまで足を運んでいただくための準備

「見込み客」層を中心にアプローチする

事前の準備で最も重要なのが、自社の「見込み客」に確実に告知し、アプローチしておくことです。なぜなら、見込み客は少なくとも自社が取り扱う製品やサービスのカテゴリーに興味があり、かつ過去に接点がある顧客層で、展示会の機会を使って再度接点を持つことができれば、大きなアドバンテージとなるからです。

もちろん、まだ自社と接点のないいわゆる「潜在顧客」に対する自社製品の認知も展示会の大きな目的の1つです。商材や展示会の種類によっては潜在顧客との新しい接点を重視すべき場合もありますので、どちらに重点を置くのかはその都度判断するべきでしょう。

顧客層の違いによって最適な告知方法を使う

見込み客に注力するといっても、さまざまな顧客層に、その顧客層に合った形式で展示会出展の告知と来場アプローチをする必要があります。

まず、現在取引のある「既存顧客」に対しては、紙の案内状を作成して可能であれば直接手渡すか、遠方などで手渡しできない場合は郵送します。案内状の作成はコストがかかりますが、安易にメールだけで告知してしまうと、いわゆる取引先の自社へのロイヤルティを下げてしまう恐れがあるので注意したいところです。

反対に「見込み客」に対しては、費用対効果を考えるとメールでの告知、またはメール+ランディングページでの告知が最も効果的です。通常は既存顧客よりも対象数が圧倒的に多いこと、また住所情報が取得できていない場合が多いことがメールを用いる主な理由です。また現在ではDMなどよりもメールを用いた方が顧客から見ても不自然さがありません。そしてメール上のリンクから参照できる、展示会専用のランディングページを作成しておくと、展示会の内容をより具体的に説明することができるので効果的です。

自社と直接接点のない「潜在顧客」へのアプローチは、ネット広告+展示会用のランディングページの組み合わせが一般的です。ネット広告戦略についての詳細は本論の主旨から外れますので詳細は割愛させていただきますが、さまざまな手法の中からターゲット層の特性などに適したものを選択することになります。

対象者をセグメンテーションしてアプローチすればさらに効果的

見込み客に対するアプローチする時に重要なのが、アプローチする対象顧客のセグメントです。単一の商品や商品カテゴリーを扱う企業の場合は、一括で展示会の案内メールを送信してもあまり問題ありませんが、複数の商品カテゴリーを扱う企業の場合は、出展する商品カテゴリーにマッチした見込み客にアプローチするようにしましょう。

マーケティングオートメーションを使っている場合は、過去の展示会参加状況や自社Webサイトへのアクセス状況、また営業との接点情報などから、どの見込み客がどの商品カテゴリーに興味があるのかが判断できるので、そこから今回の展示会や出展商品に有効な対象セグメントを見つけ出し、出展告知のメールを送信します。

気をつけなければならないのは、あまり対象を絞り込み過ぎると対象数が極端に少なくなり機会損失を招く恐れがありますので、絞り込み条件だけではなく対象数も確認しながら最終的な対象リストを決定します。実際にはマーケティングオートメーションのセグメントツールなどを活用して、幾通りかシミュレーションしながら対象リストを決めるのが効率的です。

もれなく無駄なく出展の案内をする

メールでの案内文や展示会用のランディングページには、どのような内容を盛り込んでおけば良いのかを確認しておきましょう。おおむねどのような展示会でも必要な案内/記載項目は次のようなものになります。

  • 「展示会名称」「開催日時」「場所とアクセス方法」「展示内容」「来場特典(ノベルティ)」「自社問い合わせ先」など

上記に付け加えて、展示会や出展商品、ターゲット層などに合わせて「展示コンセプト」や「展示製品のメリット訴求」なども盛り込んでおくことで顧客の期待値を上げ、来場促進につながります。

競合の出展状況の把握を忘れずに

展示会においても競合他社との競争が発生します。競合の出展状況を把握した上で、できるだけ自社に有利な戦いができるような環境をつくりましょう。

競合の出展内容を把握して自社に有利なコンテンツにする

同時出展する競合企業、また可能なら出展製品や内容を事前に把握し、より自社の優位性を発揮できるように可能な限りコンテンツの調整を行いましょう。ブースなどのツールに関しては発注済の場合も多く調整が難しいですが、当日行うプレゼンテーションやデモンストレーションなどはできる限り臨機応変に対応するのが良いでしょう。さらに開催当日も競合のブースを回って情報収集し、自社の対応に生かすことが必要です。

競合の出展が多い展示会は出展を控えた方がいい?

競合の出展が多いということは競争も激しくなりますが、それだけ同じ層の見込み客がより多く来場することが期待されます。従ってそのような展示会はむしろ大きな成果を上げることができるかもしれません。もちろんそれは競合企業にとっても同じですので、そのような展示会の場合は競合よりも有利な条件で勝負できるような戦略を十分に練っておく必要があります。大規模な展示会なら、競合の出展状況に対応した展示内容のオプションなども考えておき、より有利に進めることでより大きな成果を獲得することを目指しましょう。

まとめ

  • 展示会の来場目的は「商談」から「情報収集」変わっていることを理解する必要がある
  • お客様に自社ブースに足を運んでもらうために、顧客層やセグメントに適したアプローチ方法を用いることが必要
  • 競合企業の出展状況を調査し、できるだけ自社が有利になるような出展内容にするべき

いかがでしたでしょうか? 展示内容だけではなく、戦略的に運用することが成果に大きく影響しますので、自社が考慮していなかったことがあればぜひ参考にしていただきたいと思います。

  • マーケティングオートメーションツール選定ガイドブック