計画よりスピード重視!アジャイルマーケティングで市場変化に対応しよう
現在のマーケティングを取り巻く環境はドラスティックに変化しています。そんな不確実性の高い時代に対応するマーケティング手法として注目されているのがアジャイルマーケティングです。この記事では、アジャイルマーケティングの特徴や進め方、そしてアジャイルマーケティングを導入した企業の成功事例をご紹介します。

現在のマーケティングを取り巻く環境はドラスティックに変化しています。そんな不確実性の高い時代に対応するマーケティング手法として注目されているのがアジャイルマーケティングです。この記事では、アジャイルマーケティングの特徴や進め方、そしてアジャイルマーケティングを導入した企業の成功事例をご紹介します。
アジャイルマーケティングの特徴とは
アジャイルマーケティングの特徴は以下の4つです。それぞれのポイントを解説します。
<アジャイルマーケティングの特徴>
●チームワーク重視でプロジェクトを進める
●データ主導で意思決定を行う
●顧客ファーストのマーケティングを実施する
●スプリントサイクルで迅速にリリースする
チームワーク重視でプロジェクトを進める
アジャイルマーケティングの特徴はチームワークを重視することです。専門的なスキルを持つスタッフで構成された少数精鋭のチームを構築し、それぞれのチームが意思決定を行いながら施策を実行します。
少人数チームを編成することにより、メンバー間のコミュニケーションを促進できることがアジャイルマーケティングのメリットです。これにより、独創的かつ効果的なマーケティング活動を行いやすくなるでしょう。
データ主導で意思決定を行う
常にデータ主導の意思決定を行うこともアジャイルマーケティングの特徴です。A/Bテストなどを用いた検証を行い、効果的な施策を選択します。
データ主導のマーケティングを行うことにより、主観的な判断による失敗を減らしやすくなるでしょう。担当者や責任者の勘や経験に頼る属人的なマーケティングから脱却できることも、アジャイルマーケティングを導入するメリットです。
顧客ファーストのマーケティングを実施する
顧客ファーストのマーケティングを徹底することもアジャイルマーケティングの特徴です。常に顧客のニーズを重視し、フィードバックにも耳を傾けながら、顧客体験の向上を追求します。
例えば「スターバックス」は、「単純にコーヒーを飲む場所」ではなく、「快適にくつろげる空間でコーヒーを味わえる場所」であることが魅力でしょう。スターバックスは顧客ファーストを徹底することで、競争優位性を確保しているのです。
スプリントサイクルで迅速にリリースする
1~4週間程度と短期間のサイクルで計画から実行に移すことを「スプリント」と言います。短期間で小さな施策を実行し、結果を分析して次の施策に移すスプリントサイクルを採用することが、アジャイルマーケティングの特徴です。
顧客や市場のニーズは常に変化しています。そのため、中長期的な計画が有効とは限りません。アジャイルマーケティングを浸透させることにより、不確実性が高い時代にも対応できるマーケティング施策を打ち出せます。
アジャイルマーケティングの進め方
アジャイルマーケティングの進め方は次の6ステップです。それぞれのポイントをご紹介します。
<アジャイルマーケティングの進め方>
①アジャイルマーケティングの基本を社内で共有する
②パイロットプロジェクトを実施する
③マーケティング施策のアイデアをリストアップする
④スプリント計画を立てる
⑤スプリントを実施してフィードバックを得る
⑥スプリントの改善点を見つける
①アジャイルマーケティングの基本を社内で共有する
まずはアジャイルマーケティングの概念を社内で共有しましょう。従来の計画主義から脱却し、スピードを重視する文化への意識改革が必要なためです。
②パイロットプロジェクトを実施する
マーケティングにおける特定の課題に着目し、パイロットプロジェクトを実施します。10名以下のチームを組み、意思決定の権限を与えましょう。
③マーケティング施策のアイデアをリストアップする
マーケティング施策のアイデアをリストアップします。このリストが「バックログ」です。リストアップしたアイデアから、期待される効果や実現可能性などを検討し、優先順位を付けましょう。
④スプリント計画を立てる
バックログの優先順位に沿って、1~4週間のスプリントで取り組む施策を決定します。担当者の決定や目標の共有、施策に必要な予算などのリソースを確認し、実施に向けた準備を整えましょう。
⑤スプリントを実施してフィードバックを得る
スプリント計画に基づいて施策を実行します。スプリント終了時には、達成した成果物をステークホルダーに示し、フィードバックを得ましょう。
⑥スプリントの改善点を見つける
フィードバックを確認しながらスプリントを振り返り、改善点を見つけます。チーム内で活発な議論を交わし、次のスプリントに向けたアクションプランを作成しましょう。マーケティング施策の実行と改善のサイクルを繰り返すことが、アジャイルマーケティングを成功させるポイントです。
アジャイルマーケティングを導入した企業の成功事例
アジャイルマーケティングは、国内外で多くの企業が導入しています。アジャイルマーケティングの成功事例を3つ見てみましょう。
<アジャイルマーケティングを導入した企業の成功事例>
●Spotifyによる導入事例
●ING Bankによる導入事例
●コカ・コーラによる導入事例
Spotifyによる導入事例
音楽ストリーミングサービスを提供するSpotifyは、アジャイルマーケティングを導入する企業のひとつです。新機能やプレイリストの公開に合わせたキャンペーンの展開などにより、顧客を中心としたマーケティング施策を実施しています。
例えば年末に実施する「Spotify Wrapped(Spotifyまとめ)」は、ユーザーがその1年で頻繁に聴いた曲やアーティストをプレイリスト化するキャンペーンです。エンゲージメントを高める施策であり、アジャイルなアプローチでマイナーチェンジを繰り返しながら、毎年恒例の企画として好評を博しています。
ING Bankによる導入事例
ING Bankはオランダの大規模な金融機関です。ING Bankでは、マーケティング部門に複数のチームを組成して活動しています。
公開されている具体的な施策の事例はわずかですが、金融業はアジャイルマーケティングに適した業種といえるでしょう。例えば顧客の取引履歴や行動データを分析し、直近の経済情勢や市況を加味して提案を最適化し、金融商品やサービスをオファーするといった施策は有効と考えられます。
コカ・コーラによる導入事例
大手飲料メーカーの日本コカ・コーラは、2019年にアジャイルマーケティングを導入しました。6~10人を1チームとして、現在は5チームの新規事業企画開発チームを組成しています。
2019年に発売開始した「GO:GOOD おいしいオーツ麦ミルク」も、アジャイルマーケティングにより開発された製品のひとつです。当時は新型コロナウイルスの影響により「おうち時間」が注目されていました。「おうちで過ごす時間を少し贅沢にしたい」といったニーズにマッチした製品開発に成功した事例です。
まとめ
●アジャイルマーケティングには「チームワーク重視」「データ主導」といった特徴がある。
●アジャイルマーケティングを導入する際は、社内で新しい価値観を共有することが重要である。
●国内外で様々な業種の企業がアジャイルマーケティングを導入し、成功を収めている。
いかがでしょうか。従来の計画重視のマーケティングから、スピード重視のアジャイルマーケティングに転換することにより、世相にマッチする施策を展開できる可能性を高められるでしょう。




