今後のマーケティング戦略を考案するうえで不可欠なのはZ世代マーケティングです。しかしZ世代は他の世代と比べて思考や行動のパターンが異なる傾向にあり、どのような対策が効果的なのか分からないという担当者の方も多いでしょう。この記事では、Z世代の価値観や情報収集の特徴などに触れながら、Z世代マーケティングの手法やチャネル活用の具体例を紹介します。

Z世代マーケティングのターゲットになるZ世代とは

Z世代とは、1996年～2012年前後に生まれた世代を指す言葉です。アメリカのマーケターが「Generation Z」と呼んでいたことが由来で、日本ではZ世代と呼ばれています。

Z世代は、その他の世代と比較して思考や行動のパターンが異なる傾向にあるといわれています。Z世代マーケティングの核心に迫る前に、まずはZ世代の特徴を確認しておきましょう。

Z世代の価値観

Z世代の特徴は、生まれたときからインターネットに触れられる環境で育っているところです。SNSを利用することも当たり前のため、誰もが発信力を持っています。ジェンダーや働き方に代表される多様性を重視することや、SDGsなどの社会問題に高い関心を示すことも、Z世代の価値観の特徴です。

イギリスの政治理論家であるキア・ミルバーン氏は、格差是正や気候変動に関心を示す若年層を示す「ジェネレーション・レフト」という概念を提唱しました。Z世代は、この中核を担う存在であり、日本国内においてもコメンテーターとして活躍するZ世代の著名人が増えています。

Z世代の情報収集の特徴

Z世代の情報収集は「ググる」「ディグる」が中心です。

ググるとは、検索エンジンのGoogleを使って情報収集をすることを意味しています。近年の若者は自分で情報収集をしないとの声もありますが、実際にはGoogleやYahoo!などを利用して情報収集を行うZ世代の若者は多いです。

ディグるとは、特定の情報について深掘りしながら情報収集をすることを意味しています。SNSで見つけた情報について検索エンジンを使ってファクトチェックをしたり、異なる種類のSNSを使ってより多くの情報を探したりなど、Z世代の情報収集は「ググる」「ディグる」を両立させることが特徴です。

Z世代マーケティングに力を入れたほうが良い理由

Z世代はインターネットが身近にある環境で育ったデジタルネイティブ世代であり、その他の世代と比較して価値観が多様化しています。そのため、マーケティングにおいても「Z世代仕様」の対策が必要です。

ここでは、Z世代マーケティングに力を入れたほうが良い理由を3つ紹介します。

＜Z世代マーケティングに力を入れたほうが良い理由＞

●世界的な母数が多いため
●他の世代とは価値観が異なる傾向にあるため
●強い発信力を持つため

世界的な母数が多いため

Z世代は、2019年時点で全世界に約25億人がいるとされています。日本は少子高齢化が加速していますが、世界では人口が増加傾向にあり、全世界人口のうち3割をZ世代が占めています。Z世代の消費による経済効果は1年間で約15兆円といわれていて、今後のマーケティング戦略を意識するうえで、Z世代マーケティングは不可欠です。

他の世代とは価値観が異なる傾向にあるため

Z世代は、その他の世代とは異なる独自の価値観を持つ傾向にあります。例えば、自己表現につながるサービスに対して積極的に投資したり、価値があると感じたものに惜しまずお金を遣ったりすることが、Z世代の特徴です。このような新しい価値観に対応するためには、企業側も従来とは異なるマーケティングを立案する必要があります。

強い発信力を持つため

Z世代はSNSやYouTubeなどの動画プラットフォームにも慣れ親しんでいて、躊躇せずに情報を発信・拡散します。Z世代の発信から、特定のサービスや商品の人気に火がつく「バズる」という現象も頻繁に起きていて、Z世代を巻き込むことが企業の売上や価値を高めるきっかけになっています。

Z世代マーケティングで有効な8つの手法

Z世代の特徴を把握した後は、Z世代の特徴を活かしたZ世代マーケティングの手法を考案しましょう。特に有効な手法としておすすめできるのは、次の8つです。

＜Z世代マーケティングで有効な8つの手法＞
●インフルエンサーを起用する
●体験型のサービスを重視する
●拡散されるコンテンツを制作する
●信頼性の高い情報を発信する
●レビューを公開する
●ターゲットごとにチャネルを使い分ける
●トレンドを意識する
●共感型コミュニケーションをとる

インフルエンサーを起用する

インフルエンサーとは、SNSなどで活躍する、多くのフォロワーを抱えた著名人です。インフルエンサーは流行をリードする存在であり、広告などにインフルエンサーを起用すると、Z世代に大きな影響を与えられるでしょう。

短期間で知名度や売上の向上を目指す場合に特に適した、Z世代向けのマーケティング手法です。

体験型のサービスを重視する

モノの消費よりも体験への消費を優先することもZ世代の特徴です。例えば「高価なブランド品を購入する」よりも、「旅行などの体験に投資する」ことを重視する傾向にあります。そのため、体験型イベントの開催といったオフラインならではの施策は、有効なZ世代マーケティングになるでしょう。

拡散されるコンテンツを制作する

Z世代の多くがSNSを利用していて、面識のある知人・友人を含む多くのユーザーとつながっています。Z世代が拡散したくなるコンテンツを用意することにより、高額な広告・宣伝費を使わなくても、自社の商品やサービスが幅広い層に知れ渡るでしょう。

信頼性の高い情報を発信する

Z世代は、情報の真偽を見極める能力に長けています。そのため、信頼性の高い情報を発信することが重要です。

信頼度の高いインフルエンサーを起用したり、企業アカウントを取得したりするなどの対策をとりながら、Z世代マーケティングを行いましょう。

レビューを公開する

Z世代は第三者による感想をもとに購買を判断する傾向にあります。口コミやレビューがない状態で商品やサービスを販売すると、Z世代にとって重要な判断基準のひとつを奪ってしまいます。レビューを取得するよう努力し、第三者による評価を公開することも重要です。

ターゲットごとにチャネルを使い分ける

例えば、同じSNSでも「X」「Instagram」「TikTok」「Threads」は、それぞれ特徴が異なります。Z世代は目的に応じてSNSを使い分けているため、商品やサービスの内容、もしくはターゲットごとにチャネルを使い分けることも、Z世代マーケティングにおける重視なポイントです。

トレンドを意識する

Z世代は変化に対して柔軟なことに加えて、トレンドに敏感に反応する傾向があります。Z世代マーケティングでは、最新のトレンドを素早く掴んで反映させることが重要です。SNSやメディアで話題の商品やサービスに目をつけ、マーケティング戦略に組み込みましょう。

共感型コミュニケーションをとる

Z世代からの好印象を得るためには、共感型コミュニケーションをとることが重要です。顧客に寄り添う姿勢を見せることで、商品やサービスに関する説明にも耳を傾けてもらいやすくなるでしょう。 また、考え方や価値観を一致させることにより、Z世代の感情を刺激しやすくなります。

まとめ

1997年～2010年ごろに生まれた世代をZ世代と呼びます。Z世代は、その他の世代と比較して異なる価値観を持つ傾向にあります。そのため、新しい時代に合わせたZ世代マーケティングを実施することが大切です。インフルエンサーを起用したり、チャネルを使い分けたりといった手法を取り入れながら、Z世代マーケティングを進めましょう。