「マーケットセグメンテーション」を使えば、誰にどんな商品を売れば良いのかが分かる!

万人向けの商品やサービスというものは中々成功しないものです。多くの人を熱中させるような商品はそう多くは存在しません。しかし例えば誰でも使うような生活必需品でも、よくよく見てみれば実際に購入する人は実は決まっている、という場合も多いでしょう。

このような状況を鑑みた場合に重要になってくるのが「マーケットセグメンテーション」という概念です。マーケットセグメンテーションとは、市場や顧客層を一定の基準で細分化し、その細分化された個別の層を対象にして商品開発やマーケティング活動を行うことです。今回はそのようなマーケットセグメンテーションについて事例を交えてご紹介します。

「マーケットセグメンテーション」を使えば、誰にどんな商品を売れば良いのかが分かる!

万人向けの商品やサービスというものは中々成功しないものです。多くの人を熱中させるような商品はそう多くは存在しません。しかし例えば誰でも使うような生活必需品でも、よくよく見てみれば実際に購入する人は実は決まっている、という場合も多いでしょう。

このような状況を鑑みた場合に重要になってくるのが「マーケットセグメンテーション」という概念です。マーケットセグメンテーションとは、市場や顧客層を一定の基準で細分化し、その細分化された個別の層を対象にして商品開発やマーケティング活動を行うことです。今回はそのようなマーケットセグメンテーションについて事例を交えてご紹介します。

なぜマーケットセグメンテーションなのか?

すべての顧客や市場向けに同じように受け入れられるような商品を開発したり、いろいろな層に好感を持ってもらうようなCMを流しても、積極的に好意を持ってくれるケースはまれです。万人受けする商品やメッセージで個々のそれぞれの消費者を熱狂させることは難しいからです。

消費者のニーズや嗜好、ライフスタイルなどが多様化している現代では、ある特定の消費者層に向けた商品やサービスでなければ、購入意欲を湧かせることが難しいと考えられています。

そうなると、いかにしてその消費者層に受け入れられる商品やサービスを開発するか? またいかにこの商品を支持してくれる層を見つけるか? がマーケティング上の大きな課題となります。その課題を解決するための手段がマーケットセグメンテーションです。このマーケットセグメンテーションのやり方や結果次第でマーケティング効率に大きく差が出て、他社に対する優位性が確保できるかどうかも左右されます。

また、セグメンテーションにより新たな市場を発見したり、どの市場にリソースを集中すれば効率的なのか、などの判断を行うことも可能になります。

マーケットセグメンテーションの進め方

消費者層を細分化するセグメントの軸にはさまざまなものがあります。どのような軸を用いてどのような切り口でセグメントするのかによって、マーケットセグメンテーションの成否が決定します。それでは具体的にどのようなセグメント軸があり、どのような観点で切り口を決めればよいのかを見てみましょう。

セグメント軸

通常使われるセグメント軸は以下の4種類です。実際には各軸の要素をさまざまなに組み合わせてセグメントします。

地理的変数(ジオグラフィック)

国や地域、市町村などの地理的な条件です。地理的な条件が商品の内容や販売に影響がある場合に有効なセグメント軸になります。

人口統計分布(デモグラフィック)

年齢や性別、年収などの人口統計的な分布をセグメントに用います。最も分かりやすいセグメント軸ですが、その反面、人口統計的な変数だけでは細かな消費者像を表現しきれない、というデメリットがあります。

心理的変数(サイコグラフィック)

近年最も多く用いられるセグメント軸です。人口統計的な外面的要素ではなく消費者の内面である価値観やライフスタイル、性格や嗜好などを用います。この心理的変数は人口統計分布とは反対に、細かな消費者像をとらえることが可能であるというメリットがあります。しかしその反面、実際にどのような要素を消費者が持っているのかが分かりにくいというデメリットがあります。従って心理的変数の要素を取り出すために、アンケートなどの調査を実施する場合があります。

行動変数

Webマーケティングが盛んになってきた現在、特に注目されているのがこの行動変数によるセグメントです。購入や申込み、またWebページの訪問履歴など主にインターネット上の行動パターンを要素にセグメントするもので、ネット広告や商品レコメンドなどの際に盛んに利用されています。単一の行動だけではなく、ある商品を購入した場合はこの商品を購入する確率が高い、などの行動間の関連に着目するケースも多くなってきています。

好ましいセグメントの切り口

このようにセグメント軸は多数存在しますが、その軸を使って具体的にどのような切り口でセグメントすれば良いのかを見てみましょう。

測定可能でアプローチできるセグメントであること

いくら机上で考えた結果「良い」と思われるセグメントでも、そのセグメントの存在が実際に確認できてなおかつ自社からのメッセージが届かなければマーケティングの対象になりません。例えば「映画が好き」というセグメントを考えた場合、その人たち(セグメント)をどのように見つけて、どのような媒体や方法でメッセージを届けることができるのかを具体的に考える必要があります。

一定以上の規模を持っているセグメントであること

より細かなセグメントの方が明確なイメージを持つことができますが、そのセグメントが自社のビジネスが成り立つ程度以上の規模でなければ利益を生み出すことができません。細かくなりすぎたセグメントは再度考え直す必要があります。

自社の優位性が発揮できる

自社製品にフィットしたセグメントであっても、他社の製品でも同じような状況で差別化が図られない場合は、そのセグメントにはあまり意味がありません。その場合はセグメント軸をずらしたり、絞り込んだりして、自社が優位になる切り口を見つけ出す必要があります。

マーケットセグメンテーション事例紹介

それでは、国内企業でのマーケットセグメンテーションの代表的な成功事例を見てみましょう。

パナソニックのノートPC「レッツノート」

パナソニックのレッツノートはマーケットセグメンテーションの成功事例としてしばしば取り上げられる有名な事例です。
2006年頃から戦略が成功し売上を伸ばしていきましたが、それ以前には事業撤退も検討されたほどに危機的状況でした。その頃のPC市場は、コンシューマ市場ではVAIOなどを中心としたブランド力のあるメーカが強く、ビジネス分野では海外勢がそのコスト競争力で強力な攻勢をかけていました。

これまでビジネス分野に特化していたパナソニックは、コンシューマ向けに新たにブランドを立ち上げるなどの戦術を採りますが流れに乗れずに失敗。PC事業そのものを見直すか否かの状態にまでなりました。

そこでパナソニックが採った戦略は、単なるスペック競争や価格競争に乗らずに、「ビジネス分野」でなおかつ「外回りの営業」にターゲットを絞って商品開発を行うことでした。

徹底して外回り営業に必要な機能やスペックにこだわり、その代わりに不要な機能/スペックは思い切って妥協しました。例えば「軽さを追求した代わりに、当時はスペック競争になっていた薄さを捨てる」、「バッテリー持ち時間や太陽光の下でも見やすい高輝度モニター、防水性やセキュリティを重視する反面、拡張性やバランスの悪さなどに対する不満には対処しない」などの戦略が功を奏してレッツノートは大ヒット。2013年には国内モバイルPCシェアで40%を超えるまでになりました。

アサヒ飲料の缶コーヒー「ワンダ・モーニングショット」

もう1例、これも有名な事例です。当時の缶コーヒーは、年齢や性別などでセグメントするのが一般的でしたが、調査によって「朝に缶コーヒーを飲む男性が多い」ことを同社は発見します。そのセグメントに着目し、朝のサラリーマンに特化した商品を開発します。今までにはないマーケットセグメンテーションを作り出したことでいわゆるブルーオーシャンを見出し、大ヒットにつながりました。その後、他のカテゴリーでも「朝専用」商品が多数登場したほどです。

まとめ

  • マーケットセグメンテーションとは、市場や顧客層を一定の基準で細分化し、その細分化された個別の層を対象にして商品開発やマーケティング活動を行うこと
  • 万人受けする商品よりも特定の消費者層に向けた商品の方が訴求力やマーケティング効果が高いのでマーケットセグメンテーションが活用される
  • セグメント軸には地理的変数や人口統計分布、心理的変数や行動変数がありそれらを組み合わせて実際のセグメンテーションを行う
  • セグメントは一定以上のボリュームがあり、自社の優位性が発揮できる切り口であることが望ましい

いかがでしたでしょうか。セグメンテーションという考え方はさまざまなシーンで活用できる応用範囲の広い概念ですのでぜひ活用してみてください。また現在では、セグメンテーションからさらに一歩進んだパーソナライゼーションという概念もWebマーケティングを中心に広まりつつあります。

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