売り切りから“関係構築”へ!BtoB企業におけるサブスクリプションモデルとは?
近年では、あらゆる分野においてサブスクリプションモデルの導入事例が増加中です。いわゆる「サブスク」についての概要は理解しているものの、 BtoB企業ではどう活用すればよいか迷う担当者も多いでしょう。
この記事では、BtoB企業におけるサブスクリプションモデルの成功事例や導入ステップ、そしてLTV・契約更新率を高めるコツを解説します。

この記事の目次
近年では、あらゆる分野においてサブスクリプションモデルの導入事例が増加中です。いわゆる「サブスク」についての概要は理解しているものの、 BtoB企業ではどう活用すればよいか迷う担当者も多いでしょう。
この記事では、BtoB企業におけるサブスクリプションモデルの成功事例や導入ステップ、そしてLTV・契約更新率を高めるコツを解説します。
BtoB企業におけるサブスクリプションモデルとは何か
そもそもサブスクリプションモデルとは、商品やサービスの利用期間に応じて、月額・年額料金を支払ってもらうビジネスです。具体例としては、動画配信サービスの「Netflix」や、Amazonの会員制プログラム「Amazonプライム」があります。
まずはサブスクリプションモデルが増加している理由や、BtoB企業がサブスクリプションモデルを導入するメリット・デメリット、そして導入ステップを見てみましょう。
サブスクリプションモデルはなぜ増加しているのか
サブスクリプションモデルが増加した背景には、ユーザーの消費行動の変化が大きく影響しています。
特に、デジタルネイティブと呼ばれる若年層は、インターネットやSNSが身近な存在であり、無料アプリなどのコンテンツを使いこなしてきました。
このことが「所有欲」から「利用欲」に転換するきっかけとなり、最小限の投資で多様なコンテンツを楽しめる点が、サブスクリプション普及の原動力になっています。
BtoB企業におけるサブスクリプションモデルのメリット・デメリット
BtoB企業がサブスクリプションモデルを導入するメリット・デメリットをまとめます。
| メリット | デメリット | 
|---|---|
| ・安定した収益予測を立てられる ・長期的に顧客関係を構築できる ・柔軟なプラン設計に対応できる ・新規顧客獲得を促進しやすい  | ・収益化に向けた初速が遅い ・顧客維持率を高める必要がある ・継続的なサービス提供が必須 ・価格設定が難しい  | 
BtoB企業がサブスクリプションモデルを導入すると、長期的な顧客関係を構築しやすく、安定した収益予測を立てられるでしょう。一方、初期投資のコストを取り返すまでに時間がかかりやすいことなどはデメリットです。
BtoB企業におけるサブスクリプションモデルの導入ステップ
BtoB企業がサブスクリプションモデルを導入するまでのステップを解説します。
・ステップ① 目標設定
自社のビジネスモデルや収益構造、顧客層などを分析し、目標設定を行います。
・ステップ② モデル設計
顧客が継続的に利用するコンテンツを特定し、料金プランなどを策定します。
・ステップ③ オペレーション構築
決済システムの導入や、顧客サポートなどのオペレーション構築を行います。
・ステップ④ マーケティング
ターゲットを再定義し、販売チャネルを検討します。
・ステップ⑤ テスト運用
一定の顧客に対してテスト運用を行い、フィードバックを活かしながら改善点を確認します。
・ステップ⑥ 運用開始
テスト導入で得た知見を活かし、本格的な運用を開始します。
BtoB企業におけるサブスクリプションモデルの成功事例
サブスクリプションモデルといえばBtoCというイメージが根強いものの、近年ではBtoB企業がサブスクリプションモデルを導入する事例も増えてきました。具体的に、いくつかの成功事例を見てみましょう。
Microsoft 365によるサブスクリプションモデルの成功事例
Microsoft 365では、WordやExcel、PowerPointなどのオフィスソフトを月額制または年額制で提供しています。
買い切り型においては、ユーザーが新バージョンを購入するとは限らず、最新機能やセキュリティ更新を十分に届けられない点が課題でした。しかし、サブスクリプションモデルでは最新バージョンが自動的に提供されるため、最大の課題であるセキュリティリスクの低減を実現できています。
顧客にとってのメリットは、クラウドを経由して複数のデバイスからオフィスソフトを利用できることです。また、買い切り型と比較して初期コストも抑えやすく、ウィンウィンの関係を築けています。
Sansanによるサブスクリプションモデルの成功事例
Sansanは、法人向けの営業DXサービスを提供する企業です。名刺管理や顧客管理といったサービスを、サブスクリプションモデルとして提供しています。
サブスクリプションモデルの導入で、顧客との継続的な関係性を維持することにより、Sansanは膨大な顧客データを蓄積できるようになりました。これにより、詳細なデータ分析が可能になり、Sansan はその結果をサービス改善や新機能開発に活かしています。
freeeにおけるサブスクリプションモデルの成功事例
freeeは、個人事業主や小規模法人向けにクラウドサービスを提供する企業です。「スモールビジネスを、世界の主役に。」を合言葉に、会計の専門知識がなくても、経理を効率化できるサービスを提供しています。
サブスクリプションモデルの導入により、顧客に対して最新バージョンを提供できるため、法改正や制度変更にもタイムリーな対応が可能です。freeeでは、このメリットを活かして信頼性の高いサービスを提供し、顧客満足度や安心感を向上させています。
BtoB企業がサブスクリプションモデルでLTV・契約更新率を高めるコツ
サブスクリプションモデルの導入において重要なのは、LTV(顧客生涯価値)を向上させ、契約更新率を高めることです。サブスクリプションモデルにおいて大きなデメリットになる「解約」のリスクを抑えるコツを見てみましょう。
顧客体験(CX)を向上させる
顧客のニーズに合ったサービスをピンポイントで提供することにより、解約の動機を減らしやすくなります。
例えば動画配信サービスの「Netflix」では、ユーザーの視聴履歴に合わせて、ユーザーが興味を持ちそうな作品をトップページに表示しています。顧客の利便性を高めることにより、「自分にとって最適なサービスだ」と認識させやすくなるのです。
エンゲージメントを促進する
エンゲージメントを促進することにより、顧客のモチベーションを維持・向上させられるため、長期的な利用を促しやすくなるでしょう。
例えば語学学習アプリの「Duolingo」は、学習の進捗に応じてバッジを付与したり、ランキングでユーザー同士を競わせたりなど、ゲーム的な要素を取り入れてエンゲージメントを促進しています。
解約直前で踏みとどまらせる施策を講じる
解約を希望する顧客を水際で引き止める対策を打つこともポイントです。解約理由に応じた魅力的なオファーを提示することにより、利用継続を促しやすくなります。
例えば動画配信サービスの「DAZN」は、解約手続き中にプラン変更の打診を行うなどの対策を実施中です。 月額料金の高さを理由に解約を希望する顧客に対しては、大胆な値引きや無料期間の提供といった対策を講じることで、利用継続を促しやすくなるでしょう。
まとめ
・サブスクリプションモデルとは、商品やサービスの利用期間に応じて、月額・年額料金を支払ってもらうビジネスである。
・サブスクリプションモデルの導入により、BtoB企業は顧客との長期的な関係を構築しやすくなる。
・Microsoft 365など、サブスクリプションモデルの導入に成功しているBtoB企業は多い。
いかがでしょうか。サブスクリプションモデルを導入することにより、商品の「売り切れ」を防ぎ、顧客との関係を深めやすくなります。顧客体験の向上やエンゲージメントの促進により、サブスクリプションモデルのデメリットである解約リスクも抑えられるでしょう。



