Web上の行動から最適な広告を配信。行動ターゲティング広告の仕組みと運用のコツ
<何かが欲しいと思ってWeb上でその製品を調べ始めると、その製品の広告がたくさん表示されるようになった>。このような経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います。これが今回ご紹介する「行動ターゲティング広告」です。今回はそのような行動ターゲティング広告の仕組みやメリット、また課題などについて解説します。
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<何かが欲しいと思ってWeb上でその製品を調べ始めると、その製品の広告がたくさん表示されるようになった>。このような経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います。これが今回ご紹介する「行動ターゲティング広告」です。今回はそのような行動ターゲティング広告の仕組みやメリット、また課題などについて解説します。
行動ターゲティング広告とは
行動ターゲティング広告とは、「ターゲティング広告」手法の1つで、ユーザーのWeb上の行動履歴によってユーザーをセグメントし、各個人に最適な広告を配信する手法です。ターゲティング広告にはその他にも、ブラウザの識別情報やアプリの識別子などを利用して特定の人をターゲティングする「オーディエンスターゲティング広告」や、自社のWebサイトなどを訪問したユーザーを追跡して、そのユーザーが他のサイトを訪問中に自社広告を配信する「リターゲティング広告」、また、モバイル端末の位置情報を利用して特定エリアのユーザーに配信する「位置情報ターゲティング広告」などがあります。
行動ターゲティング広告の仕組み
行動ターゲティング広告を実現するために重要になるのが「Cookie(クッキー)」と呼ばれる技術です。Cookieには、Webサイトを訪問した際のユーザーIDやその訪問サイト、そのサイトでの入力情報、利用環境などを記録しておくことができます。データはテキスト形式で、ユーザーが利用する端末に保存されます。行動ターゲティング広告はこのCookieを使って、ユーザーを識別したうえで過去の行動履歴を取得し、それにマッチした広告を配信します。
具体的には、例えば初めにA社のサイトを訪問したとすると、Webブラウザが広告配信を管理するアドサーバーにA社サイトでの閲覧済のページやコンテンツなどの情報を送信し、アドサーバーがユニークユーザーIDなどをWebブラウザに送信します。それらの情報はCookieとして端末に保存されますので、次にB社のWebサイトを訪問した際に、WebブラウザがアドサーバーにCookie情報を送信することで、過去の行動が分かりそれに適した広告をB社のサイトに配信します。
行動ターゲティング広告のメリット
行動ターゲティング広告のメリットには次のようなものがあります。
コンバージョン率の向上
ユーザーの行動を分析して、自社製品の購買意欲のある方へ向けてピンポイントで広告を配信することができます。これにより、申込みや資料請求などの最終成果(コンバージョン)に結びつきやすいというメリットがあります。
幅広いサイトで精度の高い広告配信できる
対象サイトのコンテンツによってターゲティングするコンテンツターゲティングでは、例えば住宅関連のWebサイトでは住宅に関係する広告しか通常は配信されません。行動ターゲティング広告では、そのようなサイトのコンテンツに左右されることなく、さまざまなWebサイトでユーザーにマッチした広告を配信することができます。
顧客獲得単価を下げることができる
購買意欲のあるユーザーを対象に広告配信できるということは、見込み度の低いユーザーに広告を配信しなくてよいということですので、無駄な広告費を抑えることができ、顧客獲得単価(CPA)を下げることができます。
行動ターゲティング広告における課題
行動ターゲティング広告を利用する際の課題には、次のようなものがあります。
ターゲティングを間違うと効果がない
高いコンバージョン率が期待できるターゲットに絞り込んで配信できるのが行動ターゲティング広告の大きなメリットですが、その反面、配信する際に配信ターゲットを間違ってしまうと、広告効果が著しく低下してしまいます。
配信方法が多彩で最適なものを選択するのが難しい
行動ターゲティング広告はさまざまなメディアから提供されており、そのターゲティング内容も多彩です。その中から最適なメディアやターゲティングを選択して継続的に効果を上げていくことは、初心者にはなかなかハードルが高いのが現状です。スモールスタートで試行錯誤を繰り返しながら範囲を広げていったり、専門家の助言などを求めたりすることなどが必要になるでしょう。
行動ターゲティング広告運用のポイント
行動ターゲティング広告を運用する際には次のようなポイントがあります。
ターゲットにマッチした広告メッセージにする
ターゲットを絞り込んで配信するため、そのターゲットに適した広告メッセージ(コピーやデザインなど)になっていなければ想定した効果が望めません。ターゲットを絞り込んでいる分メッセージがずれてしまうリスクも大きくなるので注意が必要です。
ユーザーに不快感を与えないよう配慮する
ターゲットを絞って配信するため、場合によっては何度も同じ広告が表示され、ユーザーに不快感を与えてしまう場合があります。そのような印象を与えてしまっては、せっかくコストをかけて配信した広告が却って悪い印象を与えてしまいます。接触回数を適切に設定しておくなど、不愉快を与えないような工夫が必要になります。
まとめ
●行動ターゲティング広告とは、ターゲティング広告手法の1つで、ユーザーのWeb上での行動履歴に基づいて最適な広告を配信する手法
●行動ターゲティング広告では、ユーザーの端末に保存されたCookie情報を利用してWeb上の行動を追跡/分析して広告を最適化する
●行動ターゲティング広告には、コンバージョン率の向上や顧客獲得単価の抑制などのメリットがある
●反対に、ターゲティングを間違うと効果がない、配信方法の選択が難しいなどの課題がある
●行動ターゲティング広告運用のポイントとしては、ターゲットにマッチした広告メッセージを採用することや、ユーザーに不快感を与えないような配慮が必要なことが挙げられる
Cookieを活用する行動ターゲティング広告ですが、そのCookieを個人情報として捉えて、情報保護の観点からその利用を制限しようとする動きが盛んになってきました。例えば第三者に提供する場合に本人の同意が必要になったり、Webサイトの情報を横断的に管理できるサードパーティーCookieが制限されたりする傾向にあります。Cookieが制限されると行動ターゲティング広告が意図通りの成果を上げることが難しくなる恐れがあります。